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EPMA新製品JXA-8530FPlusの紹介

日本電子news Vol.49 No.6 能登谷 智史
日本電子株式会社 SA事業ユニット

JEOLにとって第3世代のFE-EPMAとなる新製品のJXA-8530FPlusは、電子光学系を大幅に強化し、ハイスループット分析を実現するとともに、新開発のソフトウェアにより多くのアプリケーションを提供できる装置として開発された。また多目的チャンバーを採用し、様々な周辺機器に対応する拡張性をさらに進化させた。実績のある安定性をそのままに幅広い要求に応えるFE-EPMAである。

はじめに

フィールドエミッション電子銃を搭載したEPMA(FE-EPMA)はJEOLが2003年に世界に先駆けて商品化して以来、累計販売実績は約300台に達し、金属、材料、地質などの諸分野で広く使用され、高い評価を得てきた。
新製品のJXA-8530FPlusではさらに多くの特徴を有し、元素分析装置としての応用性を広げた。以下にその特徴をご紹介する。

1. In-lens Shottky Plus FEG EPMA version

In-lens Schottky Plus FEG EPMA versionは、角電流密度の最適化を行い、2 μA以上の大電流による分析が可能になった。また分析条件時の二次電子分解能が向上した。以下はJXA-8530FPlus による高倍率マッピング分析の例である(Fig. 1)。

Fig. 1 JXA-8530FPlusによる高倍率マッピング分析例

JXA-8530FPlusによる高倍率マッピング分析例

2. Advanced software

Windowsベースの操作環境に新開発のより簡単に微量の分析ができる「微量元素分析プログラム」、自動で相マップが作成できる「フェイズマップメーカー」、凹凸試料を簡単入力で測定できる「凹凸試料分析プログラム」など、多彩なソフトウェアが利用できる。

3. Flexible WDS configuration

ローランド円に140Rと100RのX線分光器を選択できる。
ローランド円の半径が140RのXCE・L形X線分光器は分光範囲が広く、波長分解能やP/B比が優れている。100RのH形X線分光器はX線強度が高いといった特徴があり、目的に応じて選択できる。

4. Combined WDS/EDS system

自社製30 mm2 SD検出器(以下SD検出器)を標準で装備している。
高係数率を誇るSD検出器を採用することによりWDS分析条件と同条件でのEDS分析が可能になった(Fig. 2)。簡単操作でEDSスペクトルが収集できる。例えば試料駆動を伴う広域のマッピングにおいて、微量元素の分布状態をWDSで測定できるだけでなく、同時にEDSのスペクトルマッピングが可能である。EDSでは事前に元素やX線を選択する必要がなく測定を選択するだけなので、未知試料に予想外の元素が存在した場合の見逃しを簡単に防ぐこともできる。

Fig. 2 SD検出器外観とCombined WDS/EDS分析例

SD検出器外観とCombined WDS/EDS分析例

5. Multipurpose chamber

拡張性の高い試料室、試料交換室を装備しており、様々なアタッチメントを装着することができる(Fig. 3)。
装着可能なアタッチメント例

  • 結晶方位解析装置(EBSD)
  • カソードルミネッセンス検出器
  • 軟X線分光器
  • 大気非暴露対応トランスファーベッセル
  • 高速エッチングイオン源

Fig. 3 装着可能なアタッチメント例

装着可能なアタッチメント例

6. Powerful clean vacuum system

2台の磁気浮上形ターボモレキュラーポンプを含む、high-powerな真空系を装備している。
また鏡筒に2段階の中間室を備え差動排気により、電子銃室の高真空が保たれる。磁気浮上形ターボモレキュラーポンプは定期的なメンテナンスが不要なので、高い稼働率を維持することができる。

7. Soft X-ray Emission Spectrometer

東北大学多元物質科学研究所(寺内正己教授)、日本電子株式会社などが共同開発した、最新の高分解能X線分光器である(Fig. 4)。
新開発の不等間隔溝回折格子により、Li-KやB-Kスペクトルを同時に高感度CCDで検出する。エネルギー分解能が0.3 eV以下と非常に高く、化学結合状態分析などができる。

Fig. 4 超軟X線分光器SXES外観

超軟X線分光器SXES外観

8. miXcroscopy™ (Correlative microscope)

Nikon製光学顕微鏡を用いたポイントロガー機能を実現している。これにより光学顕微鏡で指定した座標データをEPMAの分析点として一括登録できる。光学顕微鏡で分析位置を決める必要のある試料に最適なシステムである(Fig. 5)。

Fig. 5 miXcroscopy™

miXcroscopy(TM)

主な仕様

JXA-8530FPlusの主な仕様は、Table 1の通りである。

Table 1 主な仕様

分析元素範囲 WDS: (Be*) B ~ U,EDS: B ~ U
X線分光範囲 WDS 分光範囲: 0.087 ~ 9.3 nm,
EDS エネルギーレンジ: 20 keV
X線分光器数 WDS: 1 ~ 5 基選択、EDS: 1 基
最大試料寸法 100 mm × 100 mm × 50 mm (H)
加速電圧 1 ~ 30 kV (0.1 kV ステップ)
照射電流安定度 ± 0.3 % /h
二次電子分解能 3 nm (W.D. 11 mm, 30 kV)
分析条件
最小プローブ径
20 nm (10 kV, 10 nA, WD11 mm)
50 nm (10 kV, 100 nA, WD11 mm)
走査倍率 × 40 ~ × 300,000 (W. D. 11 mm)
走査像解像度 最大 5,120 × 3,840
カラーディスプレー EPMA 分析用: LCD 1,920 × 1,200
SEM 操作、EDS 分析用: LCD 1,920 × 1,200

* Be分光用オプション分光素子を装着した場合

まとめ

JXA-8530FPlusは、フィールドエミッション電子銃を搭載したEPMAとして多くの販売・稼働実績に裏付けられた安定性に加えて、電子光学系の仕様向上と多くのアタッチメントを装着可能とする拡張性が兼ね備えられた。これにより、従来にない高スループットの分析、さらなる応用範囲の広がりの可能性を持ち、EPMAとしてお客様の新しい元素分析のご要求にお応えできることを期待する。

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