凍結割断レプリカ法
含水試料・軟試料の観察
試料を凍結してサンプリングする凍結割断レプリカ法は、自然のままの試料形態が観察できることから、含水試料・軟試料の観察に幅広く用いられています。
作製した試料は、SEMまたはTEMで微細構造の観察や分析が可能です。
                    
                    高真空中で凍結割断し、割断面に作製したレプリカ膜を観察することによって、通常の切片法では観察出来ない立体構造の解析が可能となります。
                    
                    含水量が高く、氷晶による影響を受けるものは、加圧凍結法と組み合わせたサンプリングをすることも可能です。
                
(凍結、加圧凍結法)
対象となる手法
- フリーズ・フラクチャー法
 - ディープ・エッチング法
 - 抽出レプリカ法
 
エマルション
- リポソーム多層構造の観察
 - 液中での分散状態
 
サンプル例
- ヘアトリートメント
 - クリーム
 - 乳液
 - 柔軟剤
 
                        サンプル:エマルション
                            
                            フリーズ・フラクチャー法(TEM像)
                        サンプル:ヘアトリートメント
                            
                            フリーズ・エッチング法(TEM像)
リポソーム
凍結割断によって内部構造を露出できることから、リポソーム多層構造の観察などに有効な手法です。
                        サンプル:リポソーム
                            
                            フリーズ・フラクチャー法(TEM像)
                        ネガティブ染色法(TEM像)
食品
- 含水・含油試料の観察
 - タンパク分子や脂肪球の観察
 
サンプル例
- マヨネーズ
 - アイスクリーム
 - バター
 - オイル
 - チーズ
 
                        サンプル:プロセスチーズ
                            
                            フリーズ・フラクチャー法(TEM像)
                        サンプル:コーヒー用クリーム
                            
                            フリーズ・フラクチャー法(TEM像)
軟試料
凍結下でのサンプリングを行いますので、熱や電子線ビームに弱い試料も観察が可能です。
サンプル例
- 石鹸
 - ゲル
 
                        サンプル:石鹸
                            
                            フリーズ・フラクチャー法(TEM像)
微粒子
溶液(水や有機溶媒等)中に介在する無機粒子や金属粒子、高分子粒子の分散やクラスターの形成状態が観察できます。
                    
                    液中本来の状態で観察することができ、元素分析やマッピングも可能です。
                
サンプル例
- インク
 - 顔料
 - スラリー
 - 金属ペースト
 
                        サンプル:インク
                            
                            抽出レプリカ法(TEM像)
抽出レプリカ法と分散法の比較
サンプル:顔料
                        抽出レプリカ法(TEM像)
                        分散法
従来、液中に存在している金属粒子を観察する際には、支持膜付きグリッド上で自然乾燥させる分散法が一般的に用いられてきましたが、分散法では、乾燥時に粒子の凝集が起こり、本来の液中分散状態を見ることはできません。
                    
                    抽出レプリカ法では、凍結によって液中状態が物理的に固定されるため、均一に分散された試料本来の様子を観察することができます。
                
【液中微粒子分散の観察法(抽出レプリカ法)】
試料中の微細な介在物、析出物などをカーボンレプリカ膜に抽出する方法です。
                    
                    溶液や粘性物中に存在する微粒子の状態観察・分析に適しており、材料分野に幅広く使われております。
                
                            
                        凍結割断→カーボン蒸着→試料の溶解→電子顕微鏡観察
乳化物中に分散する介在物のMAP分析
抽出レプリカ法は、試料粒子そのものが抽出されていますので、分析が可能です。
                    
                    またレプリカ膜は高純度のカーボンで作製しますので、分析の妨げになることがなく、正確な、定性・定量・MAP分析を行うことが可能です。
                
                        サンプル:液状化粧品(ファンデーション)
                            
                            抽出レプリカ法(TEM像)
                        
有機溶媒中に分散するフィラーの3Dトモグラフィー
凍結割断レプリカ法で作製したレプリカ膜は非常に丈夫なため、様々な観察法や分析法に応用することが可能です。
                        サンプル:インク
                            
                            抽出レプリカ法(TEM像)
                        
生物組織・細胞
凍結した細胞や組織をナイフで削る(割断する)ことで、脂質二重膜間を剥がし、膜面が観察できます。生物分野では、古くから行われてきましたが、現在でも、膜内蛋白粒子やタイトジャンクションなどの研究に重要な技術となっています。
サンプル例
- 組織
 - 細胞
 - タンパク分子
 - バクテリア
 
                        観察例(TEM像)
                            
                            サンプル:マウス回腸
