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高質量分解能MALDI-TOFMSによる薬剤のイメージング質量分析 [MALDI Application]

MSTips No.212

マトリックス支援レーザー脱離イオン化を用いたイメージング質量分析法(MALDI-IMS)は、サンプル表面の有機化合物の分布を可視化できる最先端の質量分析法である。主に凍結組織切片表面の脂質・ペプチド・薬剤とその代謝物などを中心にアプリケーションを拡大している。MALDI-IMSの薬物動態への応用は、 whole body autoradiographyに対して、 放射性同位元素では判別不可能な 薬剤と代謝物の識別が可能といった点で有利である。
MALDI-IMSでは、 レーザーをサンプル表面上で2次元に走査し、 各レーザー照射位置におけるマススペクトルを取得する。この2次元の位置情報を持つマススペクトル群を解析することで、特定の分子量をもつ有機化合物の分布を, マスイメージとして示すことができる。JMS-S3000 SpiralTOF™ は、 JEOL特許技術のらせん軌道型イオン光学系を採用し、 従来のリフレクトロン型イオン光学系より5-10倍長い17mの飛行距離を有しており、 世界最高の質量分解能と質量精度を誇るMALDI-TOFMSシステムである。SpiralTOF™を用いたMALDI-IMSでは、 その高い質量分解能により整数質量は同じであるが、 小数点以下の質量が異なる化合物の分離(アイソバリックな分離)が可能であり、 低質量域においても定性分析および夾雑物の影響をほとんど受けない化合物分布の取得を行うことができる。今回は, マウスに経口投与したterfenadine およびその代謝物(fexofenadine)が本装置により肝臓組織切片から検出できるかMALDI-IMSおよびMS/MS測定により調べた。

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