GC-MS Application: ヘッドスペース オートサンプラ-GC/MSシステムの材料分析への応用 -プラスチック製品(フィギュア)中のVOCs分析-

  • 概要

MSTips No.266

はじめに

ヘッドスペースオートサンプラ(HS)は、固体、液体内に存在する揮発性有機化合物(VOC)の分析を行うために用いられる前処理装置である。弊社のヘッドスペース装置であるMS-62070STRAPは、ループモードとトラップモードを標準装備したHSである。環境分析の分野では、測定対象の濃度が低く高感度が求められることが多いが、従来のループモードでは検出が困難であった水中のカビ臭原因物質測定においても、トラップモードで測定した場合、1ppt まで検出可能である。
ヘッドスペース法は粘性の高い液体や、固体等、様々な形態のサンプルに対応することが可能な手法であり、環境分析以外の食品、材料に含まれる揮発性成分の測定にも適用できる。ここでは、MS-62070STRAPと弊社GC-QMSを組み合わせたシステムの材料分野への応用例を紹介する。プラスチックモデルの原料は、代表的な高分子として知られるポリスチレンである。また、最近のプラスチックモデルはあらかじめ塗装がされたものが一般的である。そこでプラスチックモデルを塗装された部分と塗装されていない部分に分け、それぞれの部位からの揮発性成分の測定を行った。

測定条件

適量のプラスチックモデルの一部分をバイアル瓶に封入し、サンプルとした。HS-GC-QMSの測定条件はTable 1に示した。

Table 1 Measurement conditions of HS-GC-MS

Sampling mode Trap mode
Trap tube GLTrap1(GL Sciences Inc.)
Times of extraction 3 times
Sample temp. 68 °C(15 min)
Column Aquatic (GL Sciences Inc.)
(60m×0.32mm (d.f. 1.4 μm))
Carrier gas He (Constant flow : 2 mL/min)
Oven temp. 40 °C(3 min) → 10 °C/min →
170 °C → 20 °C/min → 200 °C(5 min)
Ionization mode EI (70 eV, 100 μA)
Measurement mode SCAN (m/z 46-300)
Ion Source temp. 200 °C
Interface temp. 180 °C

測定結果

Fig.1 に得られたTICクロマトグラムを示す。強度の強いピークに対しては、番号をつけた。塗装の有無によりピークの数、強度が異なるが、塗装されていない部分から得られた主成分ピークは、塗装されたプラスチックモデル部品でも確認できる。検出されたピークは、NISTライブラリを用いてライブラリ検索を行った。得られた結果をTable 2に示す。
ライブラリサーチの結果からは、Ethylbenzene、Styreneといったポリスチレンに含まれるモノマー由来の成分が検出された。塗装された部分からは、さらにMethyl 1-butenyl ketone、Diacetone alcohol、a-Isophoroneといった塗料成分に由来すると想定される成分が検出された。

TIC chromatograms

Fig.1 TIC chromatograms

Table 2 NIST Library search results

No. Compounds
1 Ethylbenzene Plastic raw material
2 Styrene Plastic raw material
3 Methyl 1-butenyl ketone Paint
4 Diacetone alcohol Paint
5 a-Isophorone Paint
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