GC-QMS Application: 二硫化炭素を用いたHS-GC/MS法によるジチオカルバメート系農薬の定量性の確認

  • 概要

MSTips No.326

はじめに

ジチオカルバメート系農薬は、野菜, 果樹用の殺虫殺菌剤として広く使用されており、現在7種類のジチオカルバメート系農薬 (チウラム、ジラム、マンネブ、マンゼブ、ジネブ及びプロピネブ) が、水道水質基準を補完している水質管理目標設定項目の農薬類として、目標値が設定されている。これらジチオカルバメート系農薬について、「水質基準に関する省令の制定及び水道法施行規則の一部改正等並びに水道水質管理における留意事項について」において、別添方法24 (→以後、通知法) が採用されている。
当該検査法では、検水に塩酸を添加した後、100°Cで1時間以上加温することで、ジチオカルバメート系農薬を分解し、生成物の二硫化炭素をヘッドスペース-GC/MS法により測定する。本報では、トラップ機能を有するヘッドスペースオートサンプラーMS-62070STRAPを使用し、二硫化炭素による検量線の直線性と定量下限濃度における再現性を確認したので結果を報告する。

測定内容

サンプルは、通知法に従い、3gの塩化ナトリウムと精製水10mLを量り入れたヘッドスペース用バイアルに、二硫化炭素標準液を濃度0.05, 0.1, 0.5, 1, 5, 10ppbとなるよう添加し、調整した。尚、各測定試料には、内部標準物質として、フルオロベンゼンを2.5ppbの濃度になるよう添加した。サンプルの測定条件をTable 1.に示した。

Table 1. Measurement condition

Parameter Value
HS Sampling mode(Number of samplings) Trap (3)
Sample temp. 70°C
Sample heating time 30min
GC Column InertCap AQUATIC (GL Sciences Inc.), 60m×0.32mm id, 1.4µm film thickness
Oven temp. 40°C for 3min, to 100°C at 5°C/min, to 200°C at 10°C/min, and hold for 5min
Carrier gas 2mL/min (Constant flow)
MS Interface temp. 200°C
Ion source temp. 250°C
Ionization current 50µA
Ionization energy 70eV
Acquisition mode (SIM monitor ion) SIM (Carbon disulfide : m/z 76, 78, 44, Fluorobenzene : m/z 96, 70)

測定結果

ジチオカルバメート系農薬の目標値は二硫化炭素の濃度として5ppbであり、必要とされる定量下限は1/100の0.05ppbとなる。
定量下限濃度に相当する0.05ppbのサンプルを測定した際のSIMクロマトグラムをFigure 1.に示した。また、二硫化炭素の検量線と0.05ppbのサンプルをn=5で連続測定した際の定量値の変動係数の値を、Figure 2.とTable 2.にそれぞれ示した。検量線の直線性については、相関係数 (R) が0.999以上であり、定量下限に相当する0.05ppbにおける定量値の変動係数も双方5%以下と良好な結果が得られている。

Figure 1. SIM chromatogram of Carbon disulfide at 0.05ppb

Figure 1. SIM chromatogram of Carbon disulfide at 0.05ppb

Figure 2. Calibration curve of Carbon disulfide

Figure 2. Calibration curve of Carbon disulfide

Table 2. Coefficient variation (C.V.) of Carbon disulfide at 0.05ppb

Quantitation value (ppb) #1 0.0492
#2 0.0491
#3 0.0482
#4 0.0478
#5 0.0482
C.V. 1.3%
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