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JMS-S3000 "SpiralTOF™-plus 2.0" を用いたオリゴヌクレオチドの測定 [MALDI-TOFMS Application]

MSTips No. 364

はじめに

ヌクレオチドは、塩基と糖からなるヌクレオシドにリン酸基が結合した構造であり、デオキシリボ核酸 (DNA) 及びリボ核酸 (RNA) を構成している。近年では、合成されたオリゴヌクレオチドが核酸医薬品として活用されている。核酸医薬品は、これまで治療が困難であった疾病に対する治療薬として注目されており、2021年12月時点において、15個の核酸医薬品が承認されている1)。合成されたオリゴヌクレオチドの分子量確認は医薬品の管理において重要である。今回は、合成されたオリゴヌクレオチド (Table 1) を測定試料とし、MALDI‐TOFMSによる測定を実施したので報告する。

Table 1) The base sequence of synthesized oligonucleotide and m/z value.

Sequence Lowest m/z value of [M+H]+ Average m/z value of [M+H]+
5'-CGCTAAGTACGCAATGGGCC-3' 6125.0710 6127.9928

測定条件

マトリックスである3-HPA (3-Hydroxypicolinic acid) を20 mg/mL 50% AcN (20 mM クエン酸二アンモニウム水溶液) に調製した。測定試料として、合成されたオリゴヌクレオチド50 μM水溶液を用いた。マトリックスとサンプルを5:1 (V/V) で混合した後、ターゲットプレートにスポットし、風乾させ、LinearTOFモード (正イオンモード) とSpiralTOFモード (正イオンモード) にて測定を実施した。

測定結果とまとめ

LinerTOFモードとSpiralTOFモードによる測定結果をFig. 1に示す。両モードにおいて、オリゴヌクレオチドのプロトン付加分子が最も高いイオン強度で観測され、その他にNaイオン付加分子なども観測された。LinearTOFモードでは、質量分解能が低いために同位体ピークの分離は難しいが、SpiralTOFモードでは、質量分解能40,000程度が得られており同位体パターンが明確に観測された。計算同位体パターン (Fig. 2a) と実測のマススペクトル (Fig. 2b) を比較したところ、同位体パターンの分布も妥当であった。そこでモノアイソトピックピークの質量誤差を確認したところ、外部標準法において-6.4 mDa (-1.0 ppm) と高い質量精度が得られていることを確認した。

以上のように、JMS-S3000 "SpiralTOF™-plus 2.0" は、核酸の分析においても非常に有効な分析ツールであることが示された。

Fig. 2

Fig. 1 Mass spectra of LinearTOF mode (b) and SpiralTOF mode (a).

Fig. 3

Fig. 2 Comparison of theoretical isotope pattern (a) and obtained isotope pattern of [M+H]+ (b).

参考文献

1) 国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子医薬部ホームページ (https://www.nihs.go.jp/mtgt/pdf/section2-1.pdf)

謝辞

本測定試料は、電気通信大学の瀧真清教授よりご提供頂きました。

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