• 概要

オージェマイクロプローブは、試料に電子線を照射し、試料から発生するオージェ電子のエネルギーを測定することで、表面から数 nm の深さの組成およびその化学状態を分析する表面分析装置です。オージェマイクロプローブの分析領域は、電子線のプローブ径で決まるため、高い空間分解能が得られるのが特徴です。近年、より微小な領域を分析するために、ショットキー型フィールドエミッション電子銃(FEG)を搭載した装置が主流となっています。

JAMP-9500F は、 ショットキー型の FEG と独自の電子光学系により大電流で高空間分解能を実現したフィールドエミッションオージェマイクロプローブです。エネルギーアナライザには、静電半球型アナライザを用い、マルチチャンネル多重検出器とオージェ分析用に最適化した入射レンズにより、高感度 ・ 高エネルギー分解能のスペクトルが得られます。また、従来、分析が困難であった絶縁物の分析に対しても、中和銃を使って帯電を中和することで分析することができます。

5.イオンエッチング銃

イオンエッチング銃は、試料表面のクリーニングや深さ方向分析に使用しますが、数十 eV のイオンを照射することで、絶縁物の帯電の中和にも利用できます。

イオンエッチング銃を中和銃として利用するには、低エネルギー領域で高いイオン電流密度が得られることが必要です。フローティングイオンエッチング銃(FMIED)は、イオンを加速電圧よりも高い電圧で加速して引出すことにより、イオン電流密度を向上しています。



図 4 に FMEID と従来形のイオンエネルギーに対するイオン電流密度の変化を示します。
FMEID では、20eV 以下のイオンを照射することで、試料をスパッタすること無く帯電を中和することができます。
 

6.試料ステージ

JAMP-9500F では、 95mmφ ディスク試料の全面の観察と分析が可能な大形試料ステージに対応しています。試料ステージは 5 軸モータドライブのユーセントリックゴニオメータステージで、試料を傾斜しても視野がずれることがなく、また、回転中心補正機能により、任意の場所で試料回転しながらイオンエッチングすることができます。

7.拡張性

JAMP-9500F の電子照射系の制御は、オージェ分析系と独立しているため、超高真空走査電子顕微鏡(UHV-SEM)としても対応できます。
また、電子線後方散乱回折装置(EBSD)、反射電子検出器、エネルギー分散形 X 線分光装置(EDS)等が取り付くポートが用意され、超高真空下での測定が可能となっています。

8.ソフトウェア

オージェ分析用のソフトウェアは、従来の JAMP-7800 シリーズと互換性を保ちながら、今回、新機能として、任意の場所と大きさでオージェ像収集が可能となりました。これにより、目的の領域を短時間に、あるいは解像度を上げてオージェ像収集することができます。

図 7に、領域を指定してオージェ像収集した例を示します。
また、スイングマウス機能により観察画面とオージェ分析用画面の間をスムーズに操作できるようになっています。


図 5 領域指定によるオージェ像収集(上:Ag 下: Cu)

9.まとめ

JAMP-9500F について、ハードウェアおよびソフトウェアの新機能について紹介しました。従来に比べて、二次電子像分解能が 3nm、オージェ分析時の最小プローブ径が 8nm と空間分解能が向上し、エネルギーアナライザの感度も 1.5 倍になったことで、より微小な領域の分析が可能となりました。

また、中和銃を利用することで絶縁物の分析の可能性も広がり、より使い易い表面分析装置となりました。

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