2017/05/30

日本電子株式会社 (代表取締役社長 栗原 権右衛門) は、新型原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200F "NEOARM" を開発し、2017年6月より販売を開始します。

開発の背景

球面収差補正装置を搭載した透過電子顕微鏡は、今では最先端研究の現場では標準的な装置になっており、当社では200台近い装置を全世界に向けて送り出しています。
近年、軽元素を含む材料や電子線照射に弱い材料など、高分解能観察や撮影が必要な試料は多岐にわたり、また、収差補正電子顕微鏡が一般化するにともない、より簡単な操作を望む声が強くなっています。
当社では、これらの要求に応え、新たに"NEOARM"を開発しました。
"NEOARM" は、当社独自の技術で開発された冷陰極電界放出形電子銃 (Cold-FEG) と高次の収差まで補正可能な新型球面収差補正装置 (ASCOR) を標準搭載し、200 kVの高加速電圧だけでなく30 kVの低加速電圧においても原子分解能での観察を可能にしました。
また、当社独自の収差補正アルゴリズムを開発し、高速かつ正確な収差補正を自動的に行うシステムを搭載しました。これにより、ハイスループットな原子分解能観察が可能となりました。
さらに、加速電圧によらず高い軽元素のコントラストが得られる新型STEM検出器を搭載しました。これにより、軽元素のコントラストを向上させる新しいSTEMイメージング手法 (e-ABF法) が可能となり、軽元素を含む材料の観察が容易になります。
リモート操作の要求に対応するために、本体と操作卓を分離し、当社の新しいコンセプトカラーであるピュアホワイトを採用したことで、洗練されたデザインに仕上がりました。

主な特長

  • 球面収差補正装置 ASCOR (Advanced STEM Corrector)
    "NEOARM" に搭載されたASCORは、従来の補正装置において分解能を制限する主要因であった高次収差 (6回非点収差) を補正することができます。ASCORとCold-FEGとの組合せは、高加速電圧から低加速電圧まで、幅広い加速電圧において高い原子分解能を実現します。
  • 自動収差補正ソフトウェア JEOL COSMO™(Corrector System Module)
    JEOL COSMO™は、新しい収差補正アルゴリズム (SRAM:Segmented Ronchigram Auto-correlation function Matrix) を採用したことにより、収差補正のための標準試料に入れ換えなくとも、5次の収差まで高精度かつ迅速に補正することが可能です。一般的な補正アルゴリズムと比較して高速な処理が可能であり、操作も自動化されていますので、お客様のワークフローを複雑化することなく、ハイスループットな高分解能観察や分析が可能となります。
  • 新ABF (Annular Bright Field) 検出器システム
    ABF検出器は、軽元素の高分解能観察に有効な手法として広く使われるようになってきています。"NEOARM" では、軽元素のコントラストをさらに向上させる新しいABFイメージング法 (e-ABF:enhanced ABF) に対応しました。これにより、軽元素を含む材料の原子レベルでの構造観察が容易になります。
  • Perfect sight検出器
    パーフェクトサイト (Perfect sight) 検出器は、異種材料からなるシンチレ―タを採用したハイブリッド検出器です。"NEOARM" は、この検出器を搭載しており、加速電圧によらず常に高コントラストと定量性のあるSTEM像を得ることが可能となりました。
  • Viewing Cameraシステム
    Viewing Cameraシステムは、リモート操作を想定して設計されたデュアルカメラによる像観察システムです。これにより別室でのリモート操作が可能になるとともに、スマートな外観デザインが可能となりました。

主な仕様

保証分解能 HAADF-STEM像 : 0.071 nm (ASCOR搭載、UHRポールピース時)
電子銃 : 冷陰極電界放出形電子銃
加速電圧 標準 : 30 kV, 60 kV, 80 kV, 120 kV, 200 kV
搭載可能なSTEM検出器 HAADF (High Angle Annular Dark Field) 検出器
BF (Bright Field) 検出器
LAADF (Low Angle Annular Dark Field) 検出器
ABF (Annular Bright Field) 検出器 (e-ABF観察対応)
(注 : 上記には一部オプションを含みます)
JEOL_JEM-ARM200F_NEOARM

本体標準価格

350,000,000円~ (オプション構成により変動します)

販売予定台数

30台/年間