新型冷陰極電界放出形クライオ電子顕微鏡 "CRYO ARM™ 300 II" (JEM-3300) を販売開始

2021/01/22

日本電子株式会社 (代表取締役社長兼COO 大井 泉) は、『短時間に、簡単操作で、高コントラスト・高分解能の画像を取得』をコンセプトとした新型冷陰極電界放出形クライオ電子顕微鏡 "CRYO ARM™ 300 II" (JEM-3300) を開発し、2021年1月より販売を開始しました。

開発の背景

近年、クライオ電子顕微鏡による単粒子解析法の分解能は飛躍的に向上しており、タンパク質の構造解析に無くてはならない手法となりました。当社では長年培った極低温技術を盛り込んだクライオ電子顕微鏡に、より高い分解能を実現する冷陰極電子銃や多試料を装填可能なクライオステージを搭載したCRYO ARM™300を上市し、分解能レコードを塗り替えてきました。

しかし、これまでのクライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析法ワークフローは、スクリーニング用とデータ取得用の複数の電子顕微鏡で構成されており、使用者にとって運用コストが大きいという問題がありました。また、極低温の凍結試料を装置間で移動させる事への懸念があり、1台のクライオ電子顕微鏡でスクリーニングからデータ取得まですべてサポートすることが待ち望まれていました。さらに、より広くお客様に使用していただくためには、電子顕微鏡の扱いに慣れた特定の使用者だけではなく、これから電子顕微鏡を使い始めるユーザーにも使用できるようなユーザビリティの向上が必要とされていました。 当社ではこうした要求に応えるべく、より短時間で、より簡単な操作で、より高品質のデータ取得を実現したCRYO ARM™ 300 IIを開発しました。

主な特長

  • 最適化された電子ビーム制御による、高速イメージング
    スクリーニングからデータ取得まですべてサポートするために、画像データ取得のスループット向上が特に重要です。CRYO ARM™ 300 IIでは精密な試料ステージ移動に加えビームシフトを組み合わせることで、高速のデータ取得を達成しました。また均一な照明 (ケーラー照明) モードを搭載し、撮影部位により限定してビームを照射できるので、限られた領域からより多くの画像データを取得できます。これらの技術によりスループットは2倍以上向上しています。
  • ハードウェアの安定性向上により、いつでも良好な画像を取得
    単粒子解析法にとって、多くの枚数を取得できることだけがスループット向上に貢献するのではありません。少ない撮影枚数からでも高分解能な結果を再構成できるようにすることも重要であり、そのために画像の品質に注目しました。ハイエンド機種であるGRAND ARM™ 2で先行採用されている、プローブ電流の安定性が高い新型冷陰極電界放出形電子銃 (CFEG) をCRYO ARM™ 300 IIにも搭載しました。また安定性が高いインカラム方式のエネルギーフィルター、オメガフィルターを採用しています。これらによってS/N比の高い良好な画像取得が行えます。
  • システムの改良による操作性の向上
    より広くお客様に使用していただくため、当社独自の単粒子解析用自動画像取得ソフトウェア、JADASを3から4へバージョンアップし、画像データ取得時の操作性を向上しました。日常点検においても、新型オメガフィルターの調整を自動化し、ユーザーの手間を軽減しています。また、観察試料を鏡筒から出し入れした際の位置再現性の高いステージを採用していますので、ストレージに入れた試料を再度鏡筒に挿入しても試料グリッドの低倍全景像 (グローバルマップ) を撮り直すような無駄な操作は必要ありません。データ取得を一旦止めグリッドのスクリーニングをデータ取得の間に割り込ませるような、柔軟な運用が可能です。さらに1個の試料グリッドだけを入れ替えることができ、12個まで保持できる顕微鏡内試料ストレージはアイスコンタミネーションなく数週間の保管が可能です。

※単粒子解析用自動画像取得ソフトウェア (JADAS 4) はオプションです。

主な仕様

電子銃 冷陰極電界放出形電子銃 (新型CFEG)
標準加速電圧 300 kV、200 kV
エネルギーフィルター インカラム型オメガフィルター (新型Omega Filter)
最大試料傾斜角度 ±70°
試料ストレージ 最大12個の保持が可能
標準構成品 ホールフリー位相板
オプション 単粒子解析用自動画像取得ソフトウェア (JADAS 4) 他
JEM-3300 (CRYO ARM(TM) 300 II)

本体標準価格

500,000,000円~

販売予定台数

10台/年間

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