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バイオエタノールを電解効率100%で燃焼
ーバイオと数理の力で拓く生体触媒による2段階カスケード反応ー

公開日: 2023/09/05

当社のクライオ電子顕微鏡(CRYO ARM™)を使用した研究成果が「ACS Catalysis」に掲載されましたので、お知らせいたします。

京都大学大学院農学研究科の足立大宜 博士課程学生(現・特定研究員)、宋和慶盛 助教、北隅優希 同助教、白井理 同教授、京都大学産官学連携本部の加納健司 特任教授、大阪大学大学院生命機能研究科 日本電子YOKOGUSHI協働研究所の宮田知子 特任准教授(常勤)、牧野文信 同招へい准教授、難波啓一 同特任教授(常勤)、大阪大学蛋白質研究所 田中秀明 准教授らの共同研究グループは、Gluconobacter oxydansという酢酸菌由来のアルコール脱水素酵素(ADH)およびアルデヒド脱水素酵素(ALDH)を用いた高出力かつ高効率な生物電気化学カスケード反応を実現しました。

ADHとALDHは、酢酸菌の呼吸鎖電子伝達系を構成する酵素で、バイオエタノールをエネルギー変換することが可能な触媒です。両酵素は、電極との直接的な電子移動ができるユニークな特徴を有しており、優れた物質-エネルギー変換(低い副反応リスク・高い電解効率)を実現できます。今回、クライオ電子顕微鏡観察や単粒子像解析を実施し、ADH、ALDHについてそれぞれ2.5 Å(オングストローム)、2.7 Åの分解能で構造解析に成功しました。また、本解析結果に基づき、最適な酵素-電極反応場をデザインし、同一反応場に両酵素を担持するコンセプトによって、エタノール→アセトアルデヒド→酢酸という2段階酸化反応を実現しました。さらに、数理モデルに基づいて本カスケード反応効率を最適化し、電気エネルギーの獲得と酢酸の生産を同時に達成するバイオ燃料電池を構築しました。本電池は、既報の10倍以上の出力に加え、エタノールから酢酸への変換における電解効率が100 ± 4%という卓越した性能を示しました。今回の研究成果は、生体触媒を用いた新たなバイオエタノール利用技術として、学術的かつ社会的な波及効果が期待されます。


本研究成果は2023年5月30日、国際学術誌「ACS Catalysis」オンライン版に掲載されました。

Experimental and Theoretical Insights into Bienzymatic Cascade for Mediatorless Bioelectrochemical Ethanol Oxidation with Alcohol and Aldehyde Dehydrogenases

 

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