電子顕微鏡2装置が日本顕微鏡学会「顕微鏡遺産」に認定
公開日: 2024/06/20

右:JSM岡部会長
このたび、当社が所有する「磁界型電子顕微鏡DA-1型」(1947年完成)と「スーパースコープJEM-50B型」(1969年完成)が、公益社団法人日本顕微鏡学会(以下JSM)第1回「顕微鏡遺産」に認定されました。
「顕微鏡遺産」は、JSMが2024年に創立75周年を迎えることを記念し、顕微鏡学の発展に大きく貢献したエポックメーキングな技術や製品を、文化遺産として後世に伝えることを目的に導入した認定制度です。
「顕微鏡遺産」認定第7号 磁界型電子顕微鏡DA-1型
創業者である風戸健二らは、戦後まもなく電子顕微鏡の開発に着手し、1947年、商用1号機として磁界型電子顕微鏡 DA-1型を完成させました。ここから当社の商用電子顕微鏡への挑戦が始まりました。戦後の物資と情報が不足した環境下で、創意工夫を凝らして完成させた本装置は、当時の世界最高級の電子顕微鏡であり、「日本のお家芸」と言われるまでになった電子顕微鏡の礎を築いた装置です。
創業者の「電子顕微鏡の開発によって世の中に貢献したい」という熱意はその後も持ち続け、現在も最先端の電子顕微鏡を開発し、世界中に提供し続けています。
なお、本装置は2010年に国立科学博物館「未来技術遺産」に、2012年には日本分析工業会「分析機器・科学機器遺産認定」に選定されています。
「顕微鏡遺産」認定第8号 スーパースコープ JEM-50B型
スーパースコープは、「百万人の電子顕微鏡」をキャッチフレーズに、1963年に「性能は光学顕微鏡の10倍以上」というコンセプトで開発された超小型の電子顕微鏡です。「電子顕微鏡は主として研究開発を目的に使用される装置」という概念ではなく、多くの方に使用していただくことを目的に、100Vのコンセントさえあればとこでも誰でも使うことができる、また、低価格を追求した装置です。
鏡筒は電子銃を最上段に設置する従来の構造ではなく、光学顕微鏡を意識して背面に電子銃を備え、接眼レンズで観察を行うユニークな構造になっています。
JEM-50B型は、スーパースコープシリーズの最終版であり、シリーズ累計では1,470台が販売されました。本装置は、電子顕微鏡の普及により科学技術の発展を目指し、その市場を幅広い層に据えた意欲作であり、電子顕微鏡の開発にとって大きな意義がありました。