GC-MS用 前処理装置
ガスクロマトグラフ質量分析計 (GC-MS) は、様々な前処理装置と組み合わせることにより、気体・液体・固体試料に含まれる成分を分析することができます。
前処理装置は多岐に渡るため、測定対象の試料の形態や測定対象化合物の特性により、最適な前処理装置を活用することでGC-MSのアプリケーション領域は一層拡大します。
本ページでは、GC-MSで使用される代表的な前処理装置の原理・特長と、弊社GC-MSと組み合わせたアプリケーション例についてご紹介します。
加熱前処理装置と化合物沸点の関係

代表的な前処理方法とアプリケーション分野
環境 | 水質 | 材料 | RoHS | 食品 | |
ヘッドスペース (HS) | ● | ● | ● | ● | |
パージ&トラップ (P&T) | ● | ● | |||
固相マイクロ抽出 (SPME) | ● | ● | ● | ● | |
サーマルデソープション (TD) | ● | ● | ● | ||
熱分解 (パイロライザー) | ● | ● | |||
熱重量 / 示差熱分析 (TG/DTA) | ● | ||||
大量注入 | ● | ● | ● | ||
ダイレクトMS | ● |
ヘッドスペース (HS)
ヘッドスペースオートサンプラ (HS)
原理・特長
ヘッドスペースオートサンプラーは、液体または固体試料を容器に封入し、加熱して生じた揮発性成分をGC-MSに導入する装置です。
水中の揮発性有機化合物 (VOC) や、食品中の香気成分分析、材料からの臭気分析など、様々な用途に使用できます。
アプリケーション
パージ&トラップ (P&T)
パージ&トラップ濃縮導入装置
原理・特長
パージ&トラップ濃縮装置は、試料管内の液体試料中の揮発性成分をパージガスを用いて強制的に追い出します。その揮発成分をトラップ管で捕集・濃縮した後、トラップ管を加熱してGC-MSに導入する装置です。水中の揮発性有機化合物 (VOC) やカビ臭原因物質分析などの分析に使用します。
アプリケーション
固相マイクロ抽出 (SPME)
PAL-RTC ガスクロマトグラフ用多機能オートサンプラー
原理・特長
GC用多機能オートサンプラーは、液体試料注入・ヘッドスペース・SPMEなどを1台でこなす装置です。
SPMEは、SPMEファイバーに吸着させた液体・固体・気体試料中の有機化合物をGC注入口に挿入することで熱脱着させ、GC-MS分析します。
サーマルデソープション (TD)
MARKES TD100-xr サーマルディソープション
原理・特長
サーマルディソープションは、液体・固体・気体試料中の有機化合物を吸着させたチューブを加熱して生じた揮発性成分をGC-MSに導入する装置です。
材料・食品中の揮発性成分分析や大気中の汚染物質の分析に使用できます。
スニッフィング
OP275 ProⅡ スニッフィングポート
原理・特長
スニッフィングシステムは、液体・固体・気体試料中の揮発性成分をGCで分離し、GCカラムの終端でMSとスニッフィングポートにそれぞれ分岐させ、質量分析と臭覚による官能評価を同時に行うことができる装置です。香料・食品中の香気成分や、カビ臭原因物質などの臭気成分分析に使用できます。
アプリケーション
熱分解 (パイロライザー)
EGA / PY-3030D マルチショット・パイロライザー
原理・特長
パイロライザーは、液体または固体試料を加熱炉で加熱し、試料から発生する揮発性成分や熱分解生成物をGC-MSに導入する装置です。ポリマーの同定や、ポリマー中の添加剤の定性・定量といった高分子材料の分析に使用できます。
アプリケーション
熱重量 / 示差熱分析 (TG/DTA)
TG-MS 究極の熱分析ツール
原理・特長
液体または固体試料を加熱していく過程の重量変化や化学変化に伴う発熱・吸熱といった熱物性評価を行う装置です。MSと接続することで加熱過程で発生するガス成分の定性情報も同時に得ることができます。合成高分子や機能性材料の加熱による発生ガス分析に使用できます。
アプリケーション
大量注入
LVI-S250 GC用大量注入口装置
原理・特長
大量注入口は、GCの注入口において液体試料中の溶媒を選択的に除去することで、大容量の試料を注入することが可能な装置です。食品中残留農薬分析や微量成分の分析に使用できます。
ダイレクトMS
ダイレクトMSプローブ DIP・DEP
原理・特長
液体または固体試料を質量分析計のイオン源内に直接導入することができるシステムです。GCを介さないため、熱や溶媒に対して不安定な化合物や、高沸点化合物の分析に使用できます。
アプリケーション
JEOL GC-MS 前処理法ガイドブック
ますます拡がるGC-MSアプリケーション
ソフトウェア
日本電子は分析用途に応じた様々なソフトウェアを提供しています。目的に沿ったソフトウェアを使用することで、解析の効率化や解析結果の向上が可能です。
本ページでは、日本電子のソフトウェアの特長およびソフトウェアを使用したアプリケーション例についてご紹介します。
多成分定量解析ソフトウェア Escrime™
特長
多成分定量解析ソフトウェアEscrime™は、GC-MS用の定量・定性解析ソフトウェアです。定量解析は、クロマトグラムのピークの面積計算、検量線の作成、定量値の算出を自動で行うことはもちろん、その後の面積計算範囲の個別設定、一括変更、定量イオンの変更も可能です。多試料・多成分でも簡単かつ効率的な解析作業が実施できます。
定性解析は、少ない操作でライブラリーサーチ結果を得ることができます。
対象機種
JEOL GC-QMSシリーズ、JMS-TQ4000GC、JMS-T200GC、JMS-T2000GC、JMS-MT3010HRGA
アプリケーション
TQ-DioK ダイオキシン分析プログラム
特長
TQ-DioKは、ダイオキシン・PCB専用定量解析ソフトウェアです。
長年のダイオキシン市場で培った解析ノウハウおよびお客様のご要望に沿った機能を多く搭載したTQ-DioKにより、誰でも簡単にダイオキシン・PCB定量解析を行うことが可能です。
対象機種
JEOL GC-QMSシリーズ、JMS-TQ4000GC
アプリケーション
msFineAnalysis シリーズ GC-MS統合定性解析ソフトウェア
特長
msFineAnalysis シリーズは、GC-MS用の自動定性解析ソフトウェアです。EIマススペクトルを用いたライブラリーDB検索と、ソフトイオン化法マススペクトルによる分子量確認を組み合わせた "統合解析" を行うことができます。差異分析、デコンボリューション、リテンションインデックス定性機能等の機能も搭載しており、解析精度の向上、作業時間の短縮、作業効率の向上を実現します。
対象機種
JMS-T2000GC、JMS-Q1600GC、JMS-TQ4000GC
アプリケーション
msRepeatFinder ポリマー解析用ソフトウェア
特長
msRepeatFinderは、高分解能質量分析計で得られる複雑なポリマーのマススペクトルを、ケンドリックマスディフェクト法で可視化できるソフトウェアです。観測されたポリマーのシリーズについてグループ化(色分け)、分子量分布計算、モノマーや末端基の組成推定が可能です。また2検体間の差異分析により、特徴的なポリマーシリーズの可視化も可能です。
対象機種
JMS-S3000、JMS-T2000GC、JMS-T200GC、JMS-T100LP
アプリケーション