検出コイル及びプリアンプを極低温に冷却することにより熱雑音を低減し、従来の室温プローブと比較して数倍高い感度で測定が可能です。SuperCOOLプローブ循環型システムよりもコイル温度が低く熱雑音が小さくなるため、最高感度で信号を検出することができます。UltraCOOLプローブは以下の4タイプがラインナップされています。
・UltraCOOLプローブ CHタイプ:
13C, 1H核に最適化された設計により最高感度で13C測定が可能です。
・UltraCOOLプローブ THタイプ:
UltraCOOLプローブのコイル温度で、SuperCOOLプローブのように多核種まで測定可能です。
13Cや29Si等の多核種側を高感度で観測できる設計になっています。
・UltraCOOLプローブ HXタイプ:
UltraCOOLプローブのコイル温度で、SuperCOOLプローブのように多核種まで測定可能です。
1H核や1H観測のインバース測定が得意なプローブです。
・UltraCOOLプローブ HCNタイプ:
1H, 13C, 15Nの三重共鳴測定が可能です。
特長

使用装置:800 MHz UltraCOOLプローブ CHタイプ
試料:10 mg Fisetin in DMSO-d6
測定:INADEQUATE
積算回数:192回
測定時間:1日
UltraCOOLプローブは、極低温プローブの特徴である超高感度測定に加え、ポリマーなどの分析に必要となる安定した高温測定が可能です。
※100°Cを超える高温下での測定においては極低温プローブ用の高温測定用ローターが必要となります。


極低温プローブ用高温測定用ローター

使用装置:600 MHz UltraCOOLプローブ CHタイプ
試料:Polypropylene in ODCB-d2
測定:13C NMR
積算回数:512回
測定温度:135°C
上段:CH3信号 裾の拡大図
下段:全体図

UltraCOOLプローブ HCNタイプ
UltraCOOLプローブ HCNタイプは4つの独立したチャンネルにより、2H, 13C, 15N の同時デカップリングが可能な、1H、13Cに最適化された三重共鳴 NMR プローブです。
タンパク質、核酸、メタボロームサンプルの研究に最適なプローブです。

使用装置:600 MHz UltraCOOLプローブ HCNタイプ およびHCN三重共鳴プローブ(室温プローブ)
試料:0.6 mM 13C/ 15N Ubiquitin (90% H2O+10% D2O)
測定:1H-15N HSQC 1D
積算回数:4回
緑:UltraCOOLプローブ HCNタイプ
青:HCN三重共鳴プローブ

使用装置:700 MHz UltraCOOLプローブ HCNタイプ
試料:0.35 mM 13C/ 15N Ubiquitin (90% H2O+10% D2O)
測定:15N軸でスライスした3D CBCA(CO)NHおよび3D HNCACBのストリップドプロット
データポイント数:64 (13C t1) ×32 (15N t2) ×1024 (1H t3) NUS25%
積算回数:8回

使用装置:800 MHz UltraCOOLプローブ HCNタイプ
試料:0.35 mM 13C/ 15N Ubiquitin (90% H2O+10% D2O)
測定: 2D CACO (IPAP) スペクトル
データポイント数:40 ×256
積算回数:32回
プローブアームとプローブリフター
極低温プローブは安全上の問題から冷却状態での昇降は現実的なものではなく、かつてはプローブを室温に戻す手間や時間が必要でした。プローブアームやリフターを使用することにより、冷えたままの状態のUltraCOOLプローブやSuperCOOLプローブを交換することができます。UltraCOOLプローブやSuperCOOLプローブは、その性質上室温プローブよりも重量がありますが、プローブアームを用いることで容易に交換可能です。

プローブアーム

プローブリフター
◆上のボックス内の再生ボタンをクリックするとムービーが始まります。 (44秒) ◆
開発秘話
極低温プローブ「UltraCOOLプローブ」「SuperCOOLプローブ」の開発