JED-2300
Analysis Station Plus
エネルギー分散形X線分析装置(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)は電子顕微鏡にアタッチメントとして装着し、電子線照射により試料から発生した特性X線を検出して元素分析を行う装置です。
JED-2300 Analysis Station Plus は、JEOL製の電子顕微鏡用に設計されたドライSD™(Dry Silicon Drift Detector)、高速アナライザー、分析ソフトを持つEDS分析システムです。
特長
トータルデザイン
JED-2300 Analysis Station Plus は「観察から分析までシームレスに」をコンセプトに、SEM/FIBとEDS同一メーカーならではのトータルデザインがなされています。 電子顕微鏡画像と分析データを同一フォルダーに保管して「分析データ一覧」として表示できるため、スペクトル等、各種データを分かりやすく一括管理することができます。 また、モーター駆動ステージの装着されたSEM/FIBでは、異なった倍率やステージ位置の電子顕微鏡画像、元素マップの配置をビジュアル的に把握することができ、広領域にわたるデータ管理も容易です。
♦操作アイコン
操作手順に沿ってアイコンを左から並べました。また、機能が一目で分かるように日本語表示をしました。
♦インデックス画像
インデックス画像から、取得済データを直感的に見つけることができます。
♦分析データ一覧
分析視野の電子顕微鏡画像と分析データが、自動的に関連づけられて、同じフォルダーに保存されます。インデックス画像で視野を選択すると、分析データ一覧に視野に関連づけられたデータが表示されるため、データ管理を容易に行うことができます。
ビジュアルピークID
定性分析結果で正しく元素が同定されているかを確認できる機能です。定性分析結果で得られた元素を元に標準スペクトルから合成スペクトルを作製し、元素同定が適切になされているかを視覚的に確認することができます。
測定したスペクトル(ピンク)と、定性分析で同定された元素で合成したスペクトル(青線)を重ねて表示すると、Bi のピーク形状が違うことが分ります。
Bi のピーク位置で再同定し、検出された Pb を追加すると、ピーク形状が合致しました。この結果、Pb も含まれていることが確認できました。
プレイバック
一般的な元素マップは、ピクセル毎に全フレームのX線カウントを積算したスペクトルを保存します。JED-2300 Analysis Station Plus の元素マップは、各フレームの電子顕微鏡画像とスペクトルを保存しています。プレイバック分析では、測定後に元素マップをアニメーションのようにリプレイすることができます。これにより、元素マップ収集時の試料変形の有無や、加熱実験のようなIn-situ実験による元素分析の変化など、多角的に解析する事を手助けします。
Smile Station™ 2
モンタージュ画像や任意に取得した複数の電子顕微鏡画像から必要な領域のみを選択して元素マップを自動収集できます。これにより、不定形の領域を効率よく分析することができます。(特許番号第4175597号)
♦粒子解析
反射電子組成像等の電子顕微鏡画像の輝度の違いから粒子等の特徴物を検出して、特徴物の形状情報を取得することができます。また、検出した特徴物を自動でEDS分析することもできます。EDSの分析測定対象とする特徴物は、反射電子組成像の輝度の他、大きさや形状等でも選択することができます。Smile Station™ 2と組み合わせることで、自動的に広範囲に渡る粒子解析ができます。鉄鋼や鉱物の介在物や、特定の形状の特徴物の判別、フィルター等で集められた物質の解析など、多岐にわたる応用分野に対応しています。
♦統計処理
各粒子には、EDS分析結果はもちろん、粒子径や面積などの粒子形状情報が記録され、それらの分布をグラフや表で示し、統計的な処理を行うことが可能です。
♦全自動分析例(アスベスト)
アスベストの形状は、針状となっています。粒子解析ソフトウェア2は、EDSの測定対象粒子にアスペクト比を設定することができ、試料中の針状粒子のみを識別して測定対象とすることができます。さらに分析結果から、針状粒子がアスベストか否かを判定したり、その分析結果からアスベストの種類を特定したりすることができます。測定後に、各粒子と分析結果を再確認することも可能です。
ドライSD™ (Dry Silicon Drift Detector)
ドライSD™ はシリコンドリフト検出器(SDD) を使用しているため、従来のSi(Li) 形EDS検出器のように液体窒素が不要です。そのため、メンテナンス性が向上し、必要なときにすぐに分析が行えます。さらに、大口径 ドライSD™ を使用することで、小さいプローブカレントでも元素分析を行うことができます。
検出器一覧
電子顕微鏡 | 受光面積 | エネルギー分解能 | 検出可能元素 |
---|---|---|---|
JCM-6000シリーズ | 25 mm2 | 133 eV 以下 | B~U |
JSM-IT100シリーズ | 25 mm2 | 130 eV 以下 | Be~U |
JSM-IT500シリーズ FE-SEM |
25 mm2, 30 mm22
60 mm2, 100 mm2 |
129 eV 以下 133 eV 以下 |
Be~U B~U |
JSM-IT100シリーズに関しまして、本ページで紹介した機能は、JED-2300 Analysis Station PlusをJSM-IT100およびJSM-IT100LVに装着する場合のみに利用することができます。JSM-IT100A、JSM-IT100LAに関しては、別の分析システムが適用されます。
仕様・オプション
SEM | JCM-6000シリーズ | ※注 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
制御 PC | OS:Microsoft@1Windows@1 7 32bit/64bit、
Windows@10 64bit |
● | ● | 6 | ||||
対応言語 | 日本語 / 英語 | ● | ● | |||||
検出器 | SDD タイプ | 検出器一覧より選択 | 25 mm2 | |||||
Ⅰ:標準、Ⅱ:マップ、Ⅲ:モンタージュ、Ⅳ:粒子解析、Ⅴ:広領域粒子解析 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | |||
スペクトル分析 | 定性 / 定量分析(ZAF 法、TEM 用薄膜定量法) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
ビジュアルピーク ID(VID) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
ケミカルタイプ分類と QBase(Qualitative Analysis Database) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
計数率とデッドタイムのリアルタイム表示 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
報告書作成 | ワンクリックレポート | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
SMILE VIEW™ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
Microsoft® Word、Microsoft® PowerPoint® への出力 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
アナリシスステーション | 分析データ管理 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
EDS モニター上から分析を開始
(取得画像上での任意分析位置指定) |
● | ● | ● | ● | ● | |||
分析位置のグラフィック表示、ナビゲーション、ピンポイントナビ | ● | ● | ● | ● | 2 | |||
SEM インテグレーション | 測定条件の自動取得
(倍率、加速電圧、ステージ座標) |
● | ● | ● | ● | ● | ● | |
SEM WD 監視 | ● | ● | ● | ● | ● | 1 | ||
SEM の操作画面で分析位置を指定
(SEM の GUI 上からダイレクト分析) |
● | ● | ● | ● | ● | 1 | ||
ヘルプ機能 | 分析アシスト | ● | ● | ● | ● | ● | ||
線分析 | 線分析、定量線分析 | ● | ● | ● | ● | ● | ||
広域ラインプロファイル | ● | ● | ● | ● | ||||
元素マップ | 元素マップ(3 原色表示、プローブトラッキング) | ● | ● | ● | ● | ● | ||
高精細画像(電子顕微鏡像、元素マップ像共に4096×3072 画素) | ● | ● | ● | ● | ● | |||
微小領域元素のピックアップ機能 | ● | ● | ● | ● | ● | |||
ポップアップスペクトル | ● | ● | ● | ● | ● | |||
定量マップ | ● | ● | ● | ● | ● | |||
残渣マップ | ● | ● | ● | ● | ● | |||
プレイバック分析 | ● | ● | ● | ● | ● | |||
散布図 | ● | ● | ● | ● | ● | |||
Smile Station™ 2 | 自動連続分析 | ● | ● | 2 | ||||
自動モンタージュ(SEM 像、マップ像) | ● | ● | 2 | |||||
複数視野にまたがる連続元素マップ | ● | ● | 2 | |||||
粒子解析ソフトウェア 2 | 粒子解析(自動 / 手動)& EDS 分析 | ● | ● | |||||
粒子解析データの統計処理
(分析結果、粒子径、面積他) |
● | ● | ||||||
複数視野にまたがる連続粒子解析& EDS分析 | ● | 3 | ||||||
パーティクルファインダー | ● | 3 | ||||||
マニュアルレビュー | ● | 3 | ||||||
ガンショット残渣(GSR)分析 | ガンショット残渣(GSR)自動分析 | ● | 3、4 | |||||
PHI-RHO-Z(PRZ)法 定量補正法 |
軽元素や重元素を含む試料での補正精度の向上が期待できる定量補正 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
試料照射電流読取機能 | 試料照射電流読み取り、変動補正 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 5 | |
ユーザースタンダードの作成 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 5 | ||
スイングマウス™ | PC2台(SEM & EDS)を1組のマウス&キーボードで操作 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
オフライン解析 | 装置以外のPCでデータ解析可能なライセンスソフトウェア | ○ | ○ | ○ | ○ |
モデル別 必須ソフトウェア |
標準ソフトウェア | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
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デジタルマッピング | ● | ● | ● | ● | ● | |||
Smile Station™ 2 | ● | ● | ||||||
粒子解析ソフトウェア 2 | ● | ● |
●組み込み ○オプションで追加可能 納入後のグレードアップについては別途ご相談ください。
JSM-IT300HR の LA タイプのみ。
モーター駆動ステージの装着された SEM で可能です。JCM-6000Plus には、対応しておりません。
X、Y、Z の3軸以上のモーター駆動ステージの装着された SEM で可能です。
キャリブレーション用に GSR ユニット(オプション)が必要です。
照射電流補正ユニット(オプション)が必要です。照射電流の自動読取は、電子顕微鏡本体の PC との接続に限ります。
FE-SEM において、PCD と AEI がある場合は、本ユニットは必要ありません。JSM-IT300HR の LA タイプ、JCM-6000 シリーズでは、EDS ソフトウェアは電子顕微鏡本体に付属のPC にインストールされます。EDS 専用の PC は不要です。
概観・仕様は改良のため予告無く変更する場合があります。
Microsoft、Windows、PowerPoint は米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。
アプリケーション
JED-2300_2300Fに関するアプリケーション
JSM シリーズがアスベスト繊維の観察・分析を支援します!:JSM-7401F、JSM-6480LA