特長
特徴
ご好評を博してきたJSM-7610Fの電子光学系を見直し、さらなる分解能の向上(15kV 0.8nm、1kV 1.0nm)を実現し、JSM-7610FPlusとしてリニューアルしました。
セミインレンズ形対物レンズとHigh Power Opticsの照射系を採用し、高空間分解能の観察と分析を安定して行うことが可能です。
さらに、GENTLEBEAM™モードによる低加速電圧観察、r-filterによる信号選別、様々なニーズに応える拡張性も備えています。
セミレンズ型対物レンズ

セミインレンズは試料の周辺に強い磁場を作ります。 これにより超高分解能が得られます。

試料:Platinum Catalyst Nano Particles on Carbon 加速電圧:15kV
High Power Optics

高倍率での観察と多様な分析とを両立させるユニークな電子光学系です。 従来のショットキー電界放出形電子銃(FEG)の10 倍のプローブ電流が得られるインレンズショットキー電界放出形電子銃※と、プローブ電流を増やしたときにも、小さなプローブ径を維持する開き角最適化レンズ(ALC)※の組み合わせで、200 nA 以上のプローブ電流が得られます。余裕のあるハイパワーオプティクスは、高倍率像観察からEDS 分析、EBSD 解析まで、高分解能用最小対物レンズ絞りのまま行うことができ、対物レンズ絞りを切り替える必要がありません。
日本電子特許 特許番号 第4146103
インレンズショットキー電界放出形電子銃

インレンズショットキー 電界放出形電子銃は、電子銃と低収差コンデンサーレンズを融合することで、電子銃から発生する電子を効率よく集めることができます。
開き角最適化レンズ(ACL)

開き角最適化レンズ(ACL)は、対物レンズの上に置かれ、対物レンズの開き角を全電流範囲にわたり自動的に最適化します。これにより、試料照射電流が大きい場合も、従来方式に比べて小さい電子プローブ径が得られます。
大きなプローブ電流でも小さいプローブ径

長時間分析にも高い安定度
インレンズショットキー電界放出形電子銃により、安定した電子プローブが得られます。

GENTLEBEAM™モード

GENTLEBEAM™モード(GBモード)は、試料に負の電圧を印加し、電子線を試料の直前で減速することで、最低100Vからの低加速電圧での高分解能観察を可能にします。 電子線の試料内散乱領域が小さくなるので、試料の最表面の微細構造の観察が容易になり、熱に弱い試料の損傷を減らすことができます。非導電性試料をそのままで観察することが容易になりました。 JSM-7610FPlusでは、GBモード1kVの分解能が1.0nmとなりました。
GBモードの効果
GBモードは、低加速電圧での分解能を向上します。

進化した低加速分解能

r-filter

次世代r-filterは二次電子制御電極、反射電子制御電極、フィルター電極を組み合わせたユニークなエネルギーフィルターです。試料表面に電子線を照射すると、試料表面から様々なエネルギーを持った電子が放出されます。次世代r-filterは、複数の静電場を組み合わせることにより、電子線をレンズ系の中心に維持しながら試料からの二次電子・反射電子を選択検出します。 次世代r-filterでは、従来機のr-filterと比較し、最大3倍の信号量を得ることができます。
次世代r-filter による信号の検出方法

LABE検出器(オプション)

LABE (Low Angle BE) 検出器は低角度反射電子を検出することができます。 極低加速電圧では試料表面の微細な凹凸情報を、高加速電圧では試料の組成情報を分解能良く観察できます。
LABE 検出器による低角度反射電子像

LABE検出器を用い極低加速電圧で反射電子像を観察することにより、結晶粒のチャネリングコントラストが観察可能です。

拡張性
エネルギー分散型X線分析装置(EDS)
ハイパワーオプティクスはEDS(SDD)検出器の大電流でも飽和しにくい特徴を有効に活用できます。低加速電圧、大電流を使用することにより、質の良いマッピングを短時間で測定することができます。ここでは、2分間でNi基板表面にある非常に薄いグラフェンの分析が可能であることを示しています。

ベーシックタイプSDD 10mm2の検出器を使用しても、100nm程度の多層膜断面の分析を30秒という短い時間で測定できます。


波長分散型X線分析装置(WDS)
High Power Opticsは、大電流で小さいプローブ径が得られるのでWDSの特徴を活かすことができます。
WDSを使用することにより、EDSでは濃度差が分からない試料の濃度差を確認することが可能です。

カソードルミネッセンス(CL)
CLとは電子線を試料に照射したときに起こる発光現象です。試料から発生した光は放物面鏡(集光ミラー)により集光され、検出されます。
下のデータは、ダイヤモンドの1kVでの二次電子像と回折格子によって分光されたCL像です。低加速電圧でCL像を観察することにより、高分解能でダイヤモンド表面の欠陥がわかります。

分析を最適化する試料室
試料室は、二次電子検出器、反射電子検出器、EDS、EBSD、WDS、カソードルミネッセンス検出器が、それぞれ最適な位置に配置できるように設計されています。
二次電子検出器、EDS、EBSDは傾斜した試料を同時に覗き込む事ができる位置に配置されており、同時観察分析が可能です。

種々の分析装置を取り付けることができます。
関連リンク
汎用特殊試料ホルダー & アダプター FE-SEM 走査電子顕微鏡用
仕様・オプション
二次電子像分解能 | 0.8 nm(加速電圧15 kV)
1.0 nm(加速電圧1 kV GBモード) 0.8 nm(加速電圧1 kV GBSHモード)*1 分析時 3.0 nm(加速電圧15 kV、 WD8 mm、 照射電流5 nA) |
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倍率 | 写真倍率:×25 ~ 1,000,000(120mm×90mm表示時)
表示倍率:×75 ~ 3,000,000(1,280×960画素表示時) |
||
加速電圧 | 0.1 ~ 30kV | ||
照射電流数 | 数 pA ~ 200nA | ||
電子銃 | インレンズショットキー電界放出形電子銃 | ||
レンズ系 | コンデンサレンズ(CL)
開き角最適化レンズ(ACL) セミインレンズ形対物レンズ(OL) |
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試料ステージ | フルユーセントリックゴニオメーターステージ、5軸モーター駆動 | ||
試料移動範囲 | 試料ステージ
スタンダード |
オプション | オプション |
タイプ Ⅰ A2
X : 70 mm Y : 50 mm Z : 1.0 ~ 40 mm 傾斜 : −5 ~ 70° 回転 : 360°エンドレス |
タイプ Ⅱ
X : 110 mm Y : 80 mm Z : 1.0 ~ 40 mm 傾斜 : −5 ~ 70° 回転 : 360°エンドレス |
タイプ Ⅲ
X : 140 mm Y : 80 mm Z : 1.0 ~ 40 mm 傾斜 : −5 ~ 70° 回転 : 360°エンドレス |
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試料ホルダー | 12.5 mmφ × 10 mmh用、 32 mmφ × 20 mmh用 | ||
試料交換 | ワンアクション交換機構 | ||
電子検出器系 | 上方検出器 r-filter 組込み
下方検出器 |
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自動機能 | フォーカス、非点補正、 明るさ、 コントラスト | ||
画像観察用液晶ディスプレー | 画面サイズ 23 型ワイド
最大解像度 1,920 × 1,080画素 |
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SEM制御用システム | PC IBM PC/AT互換機
OS Windows® 7 Professional*2 |
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走査、表示モード | 全画面走査、 実倍率、 制限領域走査、
2分割(異種倍率/異種像)、 2分割ワイド表示、 4分割(4信号同時ライブ表示)、 加算画像(4画像+加算像)、 ルーラー |
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排気系 | 電子銃室/中間室 イオンポンプによる超高真空ドライ排気系
試料室 ドライ排気系TMP排気システム |
オプション装着時
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JSM-7610FPlus ショットキー電界放出形走査電子顕微鏡