真の表面、清浄表面を観察するため、10-8Paの超高真空下で水平分解能0.14nm、垂直分解能0.01nmという高分解能を実現した走査形プローブ顕微鏡です。単に物質の表面の凹凸像の観察ばかりではなく、吸着過程の観察、高温下や低温下での相転移、積層構造での電子密度分布、さらに走査形トンネル電子分光法(STS)、原子間力顕微鏡法(AFM)など、多くの応用に対応できる種々の周辺装置を備えた拡張性の高い装置です。
特長
超高真空中で、試料処理チャンバを簡略化することによってコンパクトな構成にしました。
バリエーション一覧
JEOLのUHV-SPMシリーズでは、STM専用機とAFM/STM両用機、または試料処理室の形状により、以下のようなバリエーション豊かなラインナップを用意しております。
STM専用機 | AFM/STM両用機 |
---|---|
超高真空走査形トンネル顕微鏡
JSPM-4610S |
超高真空走査形プローブ顕微鏡
JSPM-4610A |
超高真空走査形トンネル顕微鏡 (STM専用機)
JSPM-4610S


JSPM-4500のマルチポート試料処理チャンバを簡略化したJSPM-4610のSTM専用機です。
試料処理チャンバは簡略化されてはいますが、試料パーキングステージには最大2つまでの試料ホルダが装着可能であり、 JSPM-4500同様のアタッチメントを取り付けることも可能です。 ただし、アタッチメントの取り付けにはポートの数やサイズによる制限があります。
超高真空走査形原子間力顕微鏡 (AFM/STM両用機)
JSPM-4610A


JSPM-4500のマルチポート試料処理チャンバを簡略化した、JSPM-4610のAFM/STM両用機です。 プローブの交換により、AFMとSTMの両方に対応しており、幅広い領域の測定試料に対応いたします。 また、導電性カンチレバーを用いることにより、AFMとSTMの同時観察も可能になります。
試料処理チャンバは簡略化されてはいますが、試料パーキングステージには最大2つまでの試料ホルダが装着可能であり、 JSPM-4500同様のアタッチメントを取り付けることも可能です。 ただし、アタッチメントの取り付けにはポートの数やサイズによる制限があります。
アタッチメント
アタッチメント対応表
JSPM-4610 | ||
---|---|---|
試料処理室 | 試料観察室 | |
試料加熱 | 〇 | 〇 |
試料冷却 | ― | 〇 |
蒸着装置 | △ | 〇 |
ガス導入装置 | △ | 〇 |
試料劈開装置 | △ | ― |
XPS装置 | ― | ― |
LEED/AES装置 | ― | ― |
試料加熱
試料に直接通電する直接通電加熱ホルダ (標準構成) や、PG(Pyrolytic Graphite)ヒータを用いた傍熱加熱ホルダ (オプション) を用いることで、試料の熱処理や温度を保持しての高温観察が可能となります。
試料冷却
冷却ステージを用いることで、試料の低温観察が可能となります。冷却ステージは液体ヘリウムと液体窒素による二層冷却方式であり、ドリフトフリーステージと相まって冷却効率の良い、安定した試料冷却が可能です。
STM専用機 (JSPM-4610S) とAFM/SPM両用機 (JSPM-4610A) とでは、冷却タンクの取り付け位置が異なります。下の写真は、JSPM-4500Aに冷却タンクを取り付けた状態です。STM専用機では、チャンバ直上に冷却タンクが取り付きます。

蒸着装置
試料に異種原子を蒸着させるためのアタッチメントです。試料へは下方から蒸着可能な構成となっており、また試料まではコリメーションされていますので、試料以外を汚すことなく蒸着が行えます。またシャッター機能が搭載されておりますので、蒸着量の制御もできます。

ガス導入装置
SPM観察時のガスの吸着過程や化学反応などを観察するために有効なアタッチメントです。本アタッチメントを使用することで吸着の初期過程や吸着ガスの分布などの研究に有効です。
試料劈開装置
試料処理分析室に取り付け、半導体試料のような比較的硬くてもろい試料を専用の試料ホルダに装着し、超高真空中で劈開を行う装置です。劈開後、SPMによりその劈開面を観察できます。

仕様・オプション
分解能 | ||
---|---|---|
STM | AFM | |
水平分解能 | 0.14nm | 原子分解能 |
垂直分解能 | 0.01nm | 原子分解能 |
粗動機能(モータードライブ) | ||
STM専用機 | AFM/STM両用機 | |
アプローチ機能
(Z粗動) |
自動アプローチ機能組込み | |
X、Y粗動
(試料移動) |
±2mm | ±1mm |
圧電走査素子(ピエゾ素子) | ||
STM専用機 | AFM/STM両用機 | |
走査方式 | 積層シェアモード走査方式 | チューブ式走査方式 |
スキャンサイズ | XY=0.2um、Z=0.6um | XY=10um、Z=2.7um |
スキャンローテーション | 組込み(-180°~180°) | |
走査範囲 | ||
STM専用機 | AFM/STM両用機 | |
走査可変範囲 | 0~200nm | 0~10um |
ズーム機能 | 組込み | |
試料 | ||
STM専用機 | AFM/STM両用機 | |
試料サイズ
(H×W×T) |
最大10×10×5mm | 最大8×7.7×2mm |
1×7×0.3mm (加熱用) | ||
試料加熱機構(標準) | ||
加熱方式 | 通電加熱 | |
加熱温度 | ≦1200℃ | |
ドリフト | ||
ステージ方式 | ドリフトフリーステージ方式 | |
システムドリフト量 | ≦0.05nm/s | |
超高真空チャンバ | ||
構成 | 3室構成(3室独立排気システム) | |
真空度 | 試料交換室 ~10-4Pa
試料処理室 ~10-7Pa 超高真空像観察室 ~10-8Pa |
|
ベーク方式 | ヒータ内蔵方式 |