サブナノ領域からの情報を高安定・高精度で実現
JEM-3100Fは、サブナノメートルの分解能で物質の構造解析や組成分析を実現できる高分解能・高精度分析電子顕微鏡です。最新の電子光学技術を駆使した設計により、0.1nmの分解能を持つ鮮明な画像を得ることができます。また、機械的・電気的安定性の追求によりプローブ径0.14nmの微小電子線の安定性を向上することができました。これらの高性能化の実現により、JEM-3100Fは原子・分子レベルでの材料分析に最適なツールとなりました。
特長
電界放出形電子銃
微小領域分析でのS/N比を向上させるためには、試料上でのプローブ電流の向上が必要となります。これを最も有効に達成させることができるのは、光源の輝度を上げることです。LaB6熱電子銃に比べて、約2桁輝度の高い電界放出形電子銃を採用しました。光源が高輝度のため、干渉性の良い電子線が得られ、エネルギー幅が小さいことと相まって高分解能像の像質も向上します。
コンデンサオブジェクティブレンズ※1
プローブ径を小さくするためには、照射レンズの収差係数も小さいことが必要です。集束レンズと対物レンズの機能を1つのレンズで両立させ、収差係数を小さくできるコンデンサオブジェクティブレンズを対物レンズとして採用しました。300kVで球面収差係数 0.6mm、 色収差係数 1.3mmを実現した最高峰の対物レンズ※2のもとで、アンチコンタミネーションコールドフィンやEDS検出器の最適な配置を徹底的に追求し、超高分解能像観察とともに、 0.4nmφという微小なプローブによる試料汚染のない極微小領域の元素分析と電子回折を可能としました。
超高分解能構成および高分解能構成の場合
超高分解能構成の場合
新形制御サイドエントリーゴニオメータ
新採用のサーボモータ制御により、試料ステージの操作環境が従来以上に向上しました。また、ピエゾ駆動機構を標準装備し、モータ駆動とピエゾ駆動をスイッチ一つで切り替え可能ですので、高倍率での視野移動が飛躍的に向上します。ドリフトフリー制御装置などアタッチメントも容易に構成することができます。また、ゴニオメータを気密カバー(Clam Shell)で覆うことにより騒音や気圧変動に対する耐性が向上しています。
クイックビームセレクタシステム
分析電子顕微鏡として可変幅の広い照射レンズ条件を、TEM像観察/EDS分析/微小領域電子回折/収束電子回折の4つの照射条件に分けました。目的に合った最適な照射条件をワンタッチで選択できるクイックビームセレクタシステムにより、電子顕微鏡像を観察しながら、微小プローブに簡単に切り換えられ、高精度分析が容易に実行できます。
仕様・オプション
バージョン | 超高分解能 構成(UHR) |
高分解能 構成(HR) |
ハイコントラスト 構成(HC) |
---|---|---|---|
分解能 | |||
TEM粒子像 | 0.17 nm | 0.19 nm | 0.26 nm |
TEM格子像 | 0.1 nm | 0.1 nm | 0.14 nm |
STEM明視野像※1 | 0.14 nm | 0.14 nm | - |
STEM暗視野像※2 | 0.14 nm | 0.14 nm | - |
加速電圧 | 300 kV,200 kV,100 kV※3 | ||
最小可変幅 | 100 V | ||
電子銃 | |||
エミッション方式 | ZrO/W(100)ショットキー方式 | ||
輝度 | ≧7×108A/cm2・sr | ||
真空度 | ~3×10-8 Pa | ||
プローブ電流 | プローブ径 1 nm時0.5 nA以上 | ||
電源安定度 | |||
加速電圧 | 2×10-6/min | ||
対物レンズ電流 | 1×10-6/min | ||
対物レンズ | |||
焦点距離 | 2.7 mm | 3.0 mm | 3.9 mm |
球面収差係数 | 0.6 mm | 1.1 mm | 3.2 mm |
色収差係数 | 1.5 mm | 1.8 mm | 3.0 mm |
最小焦点可変量 | 1.0 nm | 1.4 nm | 4.1 nm |
スポットサイズ(αセレクタ) | |||
TEMモード | 2~5 nmφ(3) | 7~30 nmφ(-) | |
EDSモード | 0.4~1.6 nmφ(5) | 4~20 nmφ(-) | |
NBDモード | 0.4~1.6 nmφ(5) | - | |
CBDモード | 0.4~1.6 nmφ(8) | - | |
収束電子回折 | |||
収束角(2α) | 1.5~20 mrad以上 | - | |
取込角(半角) | 10 ° | - | |
倍率 | |||
MAG | ×4,000~1,500,000 | ×3,000~1,000,000 | |
LOW MAG | ×60~15,000 | ||
SA MAG | ×10,000~500,000 | ×6,000~300,000 | |
回析カメラ長 | |||
制限視野回折 | 12~200 cm | 20~300 cm | |
高分散回折 | 4~80 m | 4~80 m | |
試料室※4 | |||
試料移動量(XY/Z) | X,Y : 2mm Z : 0.2mm |
X,Y : 2mm Z : 0.4mm |
X,Y : 2mm Z : 0.4mm |
試料傾斜角(X/Y) | ±25°/±25° | ±35°/±30° | ±38°/±30° |
EDS※5 | |||
立体角 | 0.13 sr | 0.09 sr | |
取り出し角 | 25° | 20° |
STEM像観察には走査像観察装置(オプション)が必要です。
STEM暗視野像観察には暗視野像観察装置(オプション)が必要です。
200 kV,100 kVでの像観察には電子銃電極ショートスイッチ(オプション)が必要です。
2軸傾斜ホルダ使用時の数値です。
EDSシステム(オプション)が必要です。
表示性能は30 mm2検出器での数値です。50mm2検出器に関する仕様は別途お問い合わせ下さい。