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JEM-Z200MFは、試料に強磁場を印加することなく高分解能観察を可能にする無磁場対物レンズを搭載した電子顕微鏡です。高次収差補正が可能なコレクターシステムを搭載することにより原子分解能観察を実現しています。

特長

無磁場対物レンズ

JEM-Z200MFの対物レンズでは、同じ構造のレンズが試料面の上下に配置され (FOL/BOL)、これらの レンズの磁場が打ち消し合うことで、無磁場と短焦点を両立させています。短焦点は低色収差と 安定性に優れ、高次収差補正器と組み合わせることで原子分解能観察が可能になります。対物レンズ外周部には試料上のz 方向磁場を制御するコイルが構成されています。

 

ダブルコレクター構成

JEM-Z200MFは照射系・ 結像系の両方にコレクターを構成し、STEM/TEM 高分解能観察を可能にしています。

照射系

STEMコレクターの出力を切り替えることで、高分解能観察と高感度DPC観察に適した光学条件を選択できます。

高収束角モード

高分解能観察に適した光学条件です。

200 kV、MHRP構成

収束角:20 mrad (半角)
(CL 絞り40 μm使用時)

低収束角モード

DPC STEM 法に適した光学条件です。

200 kV、MHRP構成

収束角:1.0 mrad (半角)
(CL 絞り10 μm使用時)

結像系

JEM-Z200MFはボタンひとつでTEM における明視野・ 暗視野観察用 CV (: Conventional) Mode および高分解能観察用 HR (: High-resolution) Mode の光学系を選択することが可能です。

仕様・オプション

MHRP*構成 MWGP*構成
標準加速電圧 200 kV/80 kV
電子銃 冷陰極電界放出形電子銃
STEM 分解能 明視野格子像 0.092 nm 0.136 nm
暗視野格子像 0.092 nm 0.136 nm
TEM 分解能 格子分解能 0.09 nm 0.10 nm
線形情報限界 0.14 nm 0.16 nm
最大試料傾斜角 (X° / Y°) 標準2 軸傾斜反転ホルダ―使用時 ±12° / ±16° ±25° / ±27°
試料周辺磁場 0.3 mT 以下
オプション エネルギー分散型X線分光器 (EDS)、電子線エネルギー損失分光器 (EELS)、デジタルカメラ

* MHRP : Magnetic field-free High Resolution Pole-piece MWGP : Magnetic field-free Wide Gap Pole-piece

カタログダウンロード

弊社各支店へお問い合わせください。

アプリケーション

原子スケールでの磁場分布の可視化

Differential Phase Contrast imaging (DPC)

試料中の電場や磁場による電子線の微小な偏向を分割型検出器やピクセル型検出器で検出するDPC-STEM 法で、電場や磁場を可視化できます。(模式図参照)

DPC-STEMの原理

ADF STEM image

DPC STEM image

DPC STEM 法による反強磁性体ヘマタイトの原子分解能磁場観察 (室温)。
結晶構造の対称性を利用して電場の情報を取り除き、結晶のユニットセルで平均化を行い、磁場分布の可視化を行っています。図の色は磁場の向きと強度を示します。
Y. Kohno et. al, Nature 602, 234 (2022)

回折コントラストを低減したDPC STEM法

Tilt-Scan system

JEM-Z200MFでは試料への電子線の入射角を変えることができる専用の偏向系を有しています。 模式図のように入射角度を変えた複数のDPC STEM 像を取得し重ね合わせることで、試料の回折コントラストを低減 することができます。(Tilt-scan averaged DPC STEM 法、tDPC-STEM 法)

tDPC-STEMの模式図

Tilt scan OFF

Tilt scan ON

Tilt-Scan system 有無によるDPC STEM 像の比較。
Nd2Fe14B の磁化容易軸方向からの観察。図中矢印は磁壁位置を示します。
Tilt-Scan system を用いることで結晶中の析出物による回折コントラストを低減し、磁壁を明瞭に観察することができます。

ギャラリー

High resolution STEM image

無磁場対物レンズとSTEM球面収差補正装置を組み合わせることで、無磁場環境下での原子分解能STEM観察が可能になり ます。STEMでは、高収束角モードを使用することにより、0.1 nmオーダーの高い空間分解能でSTEM観察が可能となります。

鉄Σ9 {221} 粒界のHAADF STEM像。
挿入図は粒界構造のユニットセル平均図。
対物レンズの球面収差を補正することでFeの粒界の構造を直接観察できます。
T. Seki et. al, Incommensurate grain-boundary atomic structure, Nature Communications 14,7806 (2023). Fig.1 を転載。

ネオジウム永久磁石 (Nd2Fe14B)[001]入射高分解能HAADF STEM像とFFTパターン。
30枚のSTEM 像を取得後、ドリフト補正を行い、重ね合わせています。FFTパターン上の橙色の円は1 Åの空間周波数を示します。

High resolution TEM image in HR mode

HR modeを使用することで、無磁場のまま高い倍率でのTEM 観察が可能になります。TEM球面収差補正装置を組み 合わせることによって、原子分解能TEM観察が可能になります。

磁性ナノ粒子 マグネタイト (Fe3O4) の高分解能TEM像。
対物レンズの球面収差を補正することで、明瞭に原子配列が観察できます。

Bright and Dark Field TEM image in CV mode

CV modeでは、回折面と対物絞り面が一致した光学系になっています。CV modeの使用により回折スポットの選択が 容易となり、磁性材料の明視野・暗視野観察を行うことができます。

 

純鉄を液体窒素温度において5%変形させることで導入した転位の明視野・暗視野像。 電子回折図形中に示す黄色円は対物絞りの位置をを示します。入射方位:<001> 近傍
データご提供:島根大学 荒河一渡 教授

Lorentz-TEM image / Fresnel method

通常のTEMでは磁区構造の観察には対物レンズの励磁を切る必要があります。無磁場対物レンズを使用すると、対物レンズを励磁した高い空間分解能を保持したまま、磁区構造の観察が可能となります。

 

Under focused image / defocus value -800 μm

パーマロイ薄膜 (Fe22Ni78) のFresnel 法による磁区観察結果。
図中白黒の矢印は磁壁位置を示します。
パーマロイの残留磁化状態 (図a)。Z磁場印加コイルを使用することで、試料に外部磁場を導入することが可能です (図b-d)。
試料ご提供:東京工業大学 三宮工 准教授

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