従来の電⼦染⾊は、⼤気中で⾏うため、ドラフト内で⾏う必要があり、安全⾯が危惧されておりました。また、染⾊を終了したつもりでも、試料内部にたまった染⾊剤がなかなか抜け切れず過染⾊が起こり、脱落あるいはひび割れてしまうことがありました。本装置で開発した真空電⼦染⾊法(真空染⾊法)は、真空チャンバー内に試料を設置し、四酸化オスミウム(OsO4)ガスや、四酸化ルテニウム(RuO4)ガスを真空チャンバー内に導⼊することにより染⾊を⾏う全く新しい染⾊法です。
特長
安全性が高い設計
ドラフトチャンバーを使用せずに、真空チャンバー内にて自動で染色を行います。安全性が高く、また、インターロック機能により操作ミスを軽減します。
再現性が高い
染色ガス導入量の制御が可能であり、再現性高い結果をもたらします。染色終了後、再排気を行うことで過染色を防止することが出来ます。
短時間で深い領域の染色が可能
従来の電子染色では、72時間の染色で再表面から約3μmの領域までしか染色されませんでしたが、真空電子染色では、6時間の染色で、最表面から約9μmの領域まで染色されていることが確認できました。
吸湿性のサンプルに有効
四酸化オスミウム(OsO4)染色、四酸化ルテニウム(RuO4)染色ともに、水溶液を使用しません。真空内のドライ状態にて染色を行うので、従来、水分により変質する様なサンプルにも有効です。
表面コンタミの軽減
特に切片染色に有効です。
最適条件が見つけやすい
4チャンバーそれぞれに異なる染色条件を設定可能です。
大気非暴露での染色が可能
オプションのミドルチャンバー、ミニチャンバー使用時。
タッチパネルによる優れた操作性
見やすく、タッチしやすい7型ワイド液晶を採用。写真や図を取り入れたグラフィカルな画面で各種設定画面をわかりやすく表示させます。タッチパネル画面のメッセージに従うだけでどなたでも簡単に操作可能です。日本語と英語の2種類の言語モードを搭載しています。
仕様・オプション
本体
型式 | VSC4TWDH |
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操作/表示部 | 7型ワイド液晶タッチパネル (WVGA; 800×480/約1,677万色/128MB) |
チャンバー数 | 4(上部ガラス製) |
チャンバー内寸法 | 86(φ)×50(H)mm |
昇華室ポート | 1 |
使用ガス | 四酸化オスミウム(OsO4)の昇華ガス或いは、四酸化ルテニウム(RuO4)の気化ガス (四酸化ルテニウムの使用には、オプションのルテニウム昇華室が必要です。) |
オスミウム昇華室 | 残量確認窓付密閉脱着構造(脱着後冷凍保存可) |
ガス導⼊系 | OsO4アンプルを昇華室で割断或いは、RuO4瓶を昇華室(オプション)に導⼊し、昇華・気化ガスを電磁弁制御により導⼊ |
ガス導⼊量 | 13段階の濃度設定可能 ※但しオスミウム染色は10段階まで |
4つのチャンバー個別の染色濃度変更 | 可能
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4つのチャンバー個別の染色時間変更 | 可能
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試料加温機構(OsO4の場合のみ) | 室温~70°C(チャンバー個別に設定可能) |
染色時間 | 0時間1分〜17時間0分 1分ごとに設定可能 |
排気系 | オイルミストトラップとオスミウム吸着フィルタは、ポンプに直結して排気ガスを清浄化している |
電源 | 単相 AC100V 50Hz/60Hz 12A |
外形寸法 | 610(W)×445(D)×510(H)mm, 突起部除く |
重量 | 約50kg |
オプション | 四酸化ルテニウム(RuO4)昇華室, 染色用グリッドホルダー, 昇華室輸送容器, ⼤気非暴露チャンバー, 簡易ドラフトフード, 排気ユニット |
ロータリーポンプ(OsO4/RuO4フィルター付)
電源 | AC100V 50Hz(60Hz) 550W |
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全負荷電流 | 単相 9.0A(8.4A) |
排気速度 | 200L(240L) /min |
外形寸法 | 170(W)×520(L)×560(H)mm |
重量 | 約31kg |