Close Btn

Select Your Regional site

Close

市立秋田総合病院

アイディエス製ブリッジモジュールシステムの導入効果

市立秋田総合病院は2022年10月1日に全面改築、地域の中核的な公的医療機関として5疾病(がん、精神疾患、脳卒中、 急性⼼筋梗塞、糖尿病)6事業(救急医療、災害時における医療、僻地医療、周産期医療、⼩児医療、感染症医療)に対応して、地域で必要とされる医療を継続的に提供していくことが可能となるように整備を進めました。
一般病床337床で、公的病院としての役割を果たすために精神病棟や結核病棟を継続維持し、救急医療・小児・周産期医療などへの対応も継続しています。
その中、新病棟移設に合わせて、検査室のラインも一新、生化学自動分析装置と免疫装置を連結したアイディエス製ブリッジモジュールの導入経緯と運用や効果について臨床検査科の渡辺氏と千葉氏にお話を伺いました。

市立秋田総合病院

ブリッジモジュールシステムとは

生化学自動分析装置と免疫装置の間にブリッジモジュールを設置し、連結器と同様な運用を実現することができるシステムになります。ブリッジモジュール自体はいわば「ミニ搬送」であります。生化学自動分析装置と生化学自動分析装置の組み合わせも可能です。
ブリッジモジュールシステムは従来の連結器とは違います。測定だけではなく、測定前後含めたルーチン検査フロー全体を効率化するシステムです。
また従来の連結機とは異なり、免疫分析装置は各種メーカーから選択することが可能です。※1 ページ末尾「選べる接続対応機種」を参照

市立秋田総合病院では日本電子製の生化学自動分析装置BioMajestyTM 6070 GとJCA-ZS050をそれぞれ免疫装置とアイディエス搬送装置に組み合わせて利用しています。
搬送の連結や一体型装置という選択肢もある中でブリッジモジュールシステムを導入に至った要因につきまして、「最大の要因は全自動搬送システムを導入するには、経費と場所の問題があり、実現が難しいため」と渡辺氏と千葉氏は話します。

市立秋田総合病院では装置更新前も検体処理速度、ランニングコストを重視し、日本電子製の生化学自動分析装置JCA-BM6070、JCA-BM9130を導入していました。その際は生化学・免疫装置それぞれスタンドアローンかつ生化学・免疫の検査を採血管1本で運用していました。そのため、検体を生化学・免疫装置の複数の装置を跨いで手動で移送する必要があり、多いものは4台を跨ぐこともあったため、検体移送に時間がかかり、人手が少ない時間帯には、TAT(Turn Around Time)に大きなロスが生じていました。そこで、検体の移送を最小限に抑え、TAT短縮を図るため、ブリッジモジュールシステムの導入を決定しました。

導入についてはいろいろデータを収集し、メーカーにも話を聞いたといいます。当時はブリッジモジュールとして生化学自動分析装置と免疫装置をつなぐそれぞれ接続実績のあるメーカーが限られていました。それでも柔軟な対応力に期待し、検体搬送装置をアイディエスに依頼することにしました。

生化学と免疫装置両方の測定が必要な場合は、一方の分析が終わると次の装置に検体を移送する必要があります。今回は、それを自動化するために「搬送装置でつなぐことを前提にシステムを検討することにした」とのことです。

市立秋田総合病院

アイディエス搬送装置

市立秋田総合病院

アイディエス搬送装置

平日日勤と、夜間・休日の2ラインを用意

システムを検討するにあたり、まず考えたのは「どの生化学分析装置を採用するか」でした。これはすんなりと、BioMajestyTM 6070 GとJCA-ZS050に落ち着きました。特にBioMajestyTM 6070 GはJCA-BM6070の後継機であり、運用していた実績があるので、処理速度が速く、ランニングコストがよいことを実感していました。平日日勤のラインではこのBioMajestyTM 6070 Gにフル回転してもらい、夜間・休日のラインにはJCA-ZS050を使おうという運用案も自然と浮かんだようです。

次に免疫分析装置。同装置を検討するにあたっては平日日勤と夜間・休日の緊急項目を考慮してAIA-CL2400LA を選定しました。一方、平日日勤は、夜間・休日に検査をしない腫瘍マーカーの測定ができかつ、処理能力が高い装置のLUMIPULSE L2400を選びました。

市立秋田総合病院

1号機:JCA-ZS050とAIAーCL2400LA(東ソー製)を連結

市立秋田総合病院

2号機:BioMajestyTM 6070 GとLUMIPULSE L2400(富士レビオ製)を連結


組み合わせについてはJCA-ZS050とAIAーCL2400LA(東ソー製)を1号機、BioMajestyTM 6070 G とLUMIPULSE L2400(富士レビオ製)を2号機としてアイディエス搬送装置で連結しています。

JCA-ZS050とAIAーCL2400LAを連結した理由は、夜間・休日にも使用するためです。夜間・休日は、高い処理能力は必要ありませんが、緊急項目の測定が必要となります。そのためBioMajestyTM 6070 Gと比較し、処理能力の低いJCA-ZS050とBNPやMYO、プレセプシンなどが測定出来るAIAーCL2400LAを連結しました。一方、BioMajestyTM 6070 G とLUMIPULSE L2400は平日の運用を重視し、検体の処理能力の高いBioMajestyTM 6070 Gと、夜間・休日に検査をしない腫瘍マーカーを測定出来るLUMIPULSE L2400としました。

市立秋田総合病院

画像左:千葉氏、画像右:渡辺氏

接続初期には想定通りにいかなかった点も

アイディエスの検体を投入する搬入レーンと分注が終了した検体が戻ってくる搬出レーンを振り分けることができます。しかしながら、検査室の運用に対して、ラックの割り当てパターンが少なく、本来は搬出レーンを①生化学検体、②血糖・尿検体、③未検査再検査項目がある検体に振り分けをしたかったが、実現できなかったとのことです。その結果搬出ラックがすぐ満杯となり頻繁なラックの交換作業が発生し、作業の負担、運用効率に影響が出ました。

しかし、アイディエスの柔軟な対応により、仕様を変更し、今は希望通りの振り分け方ができるようになり、円滑な運用が実現できています。

ミスが無くなり、時間的・精神的に余裕ができた

導入前は一方の装置で分析が終わると次の装置に人手を介して検体を移す必要があり、検体の搬入搬出作業が煩雑で、測定の見落としミスがありました。

導入後は、アイディエス搬送装置に投入するのみなので作業動線が簡素化したため、測定の見落としミスがほとんど発生することがなくなりました。再検査や追加検査についても、今までは検体を探す必要があり、時には時間を要していましたが、現在では、自動で元検体から再検が可能で、クロス再検をする場合や追加検査時も検体検索により、即座に検体の位置を把握することができるため、業務の負担が軽減しました。その結果、検査に要する人員も5名から4名に削減でき、TATについても30~40分程度から20~30分程度で臨床へ報告できています。
働く検査技師たちにとっては時間的・精神的に余裕ができたことが大きなメリットです。以前は8時半から17時までびっしり仕事に追われていました。検体を装置間で移動させているときには「これが検査技師の仕事なのか」と感じることもあったといいます。

今は余裕をもって電子カルテを確認したり、手が空いたときには研修の資料を作ったりすることができるようになりました。また、今はスタッフにきちんと休みを取ってもらわなければいけない時代ですが、そのスケジューリングも無理なくできるようになりつつあるといいます。

市立秋田総合病院

患者さんにもメリットを感じてもらいたい

今後は経験の浅いスタッフもいるため、スタッフのトレーニングを計画的に実施し技術的、学術的な向上を図ることが目標です。長期的な目標としては、災害時に対応できる検査室にすることです。

TATの話に戻すと、検査のTATは30分のめどがたちました。ですが、患者さんにとっては来院してから採血室での待ち時間が長いため検査が速くなったという実感を持っていただけていないようです。採血の待ち時間を解消し、病院に来て診察まで採血・検査時間も含めて1時間以内で結果を出すのが目標です。

検体検査が速くなったメリットを患者さんにもフィードバックしたい。患者さんが来院から診察まで、採血・検査時間も含めて1時間以内に結果を出せる病院にしたい。今はそれが目標とのことです。

市立秋田総合病院

補足資料

※1 選べる接続対応機種

※2 測定フロー鳥瞰図

※3 搬出ラックパターン


BioMajestyTMは日本電子株式会社の登録商標です。

お問い合わせ

日本電子では、お客様に安心して製品をお使い頂くために、
様々なサポート体制でお客様をバックアップしております。お気軽にお問い合わせください。