Coldspray-TOFMS : AccuTOF CSを用いたポルフィリン異性体の分析
MS Tips No.036
プロトンや特定アニオンの膜輸送をポルフィリン系化合物を使って実現する試みが、九州大学 古田教授らにより展開されています。この研究において、ポルフィリン異性体の一種である N- 混乱ポルフィリン(NCP)の持つ分子内ピロール環回転特性と環拡張性を組み合わせた、多重 N- 混乱型拡張ポルフィリンの特性が有効に機能することが報告されています。1)~3)この N- 混乱ポルフィリンは多くの金属元素と比較的安定な錯体を形成することが知られています。N- 混乱ポルフィリン金属錯体は環内部に特異的な反応性を示す炭素 - 金属結合を持ち、有機金属錯体としての特性を示します。混乱ピロールが環内に導入されることにより通常ポルフィリンに比べて不安定化がもたらされ、結果として通常の ESI 法への適用は困難となることが予想されます。このような不安定な試料に対しては Cold-Spray 法の適用が有効であると考えられます。下図にコールドスプレーシステムの概略図を示します。(Cold-Spray 法に関する詳細については MS Tips No.035 を参照)。今回、試料として二重 N- 混乱型ポルフィリンおよびその銅錯体を用い、Cold-Spray 法への適用について検討を行いました。なお、分析は ESI 法および Cold-Spray 法により行い、それぞれの条件において得られたマススペクトルの比較を行いました。
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