AESにおける絶縁物試料分析
日本電子News Vol.42, 2010
堤 建一、池尾 信行、田中 章泰、田澤 豊彦
日本電子(株)SA事業ユニット
オージェ電子分光法 (AES) とは、最表面から約6 nmといった極浅い領域の分析が可能であり、プローブとして用いる電子線のビーム径を集束すれば、表面に存在する約100 nm2という微小空間領域の中に存在する元素分析が可能となる方法である。しかし、この魅力的な性能も導体試料の分析に限られ、絶縁物試料に対する分析では帯電現象のために二次電子像の観察も困難であった。
しかし、必ずしも絶縁物試料に対してオージェ分析ができないということではない。実際には多少の知識と経験を有していれば、絶縁物試料上であっても試料傾斜法を用いて帯電を抑制しながらのオージェ分析は可能であるし、絶縁物試料の状態によっては直径1μm以下の微小分析個所であっても、高い空間分解能を生かしたオージェ分析が可能となる。
特に、帯電抑制のための10~30 eV程度の低速Arイオンを照射することのできる「Ar中和銃」が登場してからは、比較的簡便に試料表面の帯電量を制御でき、絶縁物試料へのAES分析の適用範囲が大きく広がっている。
- 続きは、日本電子News Vol.42のPDFファイルをご覧ください。
PDF 4.58MB