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高分解能マスクロマトグラムによる選択性の検証

MSTips No.130

はじめに

PCBsが混入されていないトランスオイルを10,000倍希釈し、そこに市販のPCBs(KC-500)を一定量混入し、FastGC/MS測定条件にて測定を行った。マスクロマトグラムを作成する際に、質量範囲(マスクロマトグラム作成の際の『ウィンドウ幅』と言う)を変化させ、夾雑成分の影響排除に関して検証を行った。

試料及び条件

試料 KC-500(0.1 ppm)、トランスオイル(10,000倍希釈)
GC条件
  • 注入口: Splitless、280°C
  • カラム: DB-5、10m×0.18mm、0.18 μm
  • He流量: 0.5ml/min(定流量モード)
  • オーブン: 50°C(2min) → 60°C/min → 280°C(2min)
MS条件
  • MS: JMS-T100GC "AccuTOF™ GC"
  • イオン化モード: EI+(イオン化電圧:70eV、電流:300 μA)
  • 測定質量範囲: m/z 30−550
  • スペクトル記録間隔: 0.1s(10 Hz)
  • 温度: イオン源:280°C、GC-ITF:280°C

結果及び考察

マスクロマトグラムの作成ウィンドウ幅を変化させることで、高分解能条件により実試料中夾雑成分の影響が排除可能かどうかを検証した。Fig.1に低分解能、高分解能各々の条件で作成したマスクロマトグラムを示す。なお、『低分解能』『高分解能』とは装置的な条件という意味ではなく、作成する際のウィンドウ幅を変化させたことを意味している。それら作成ウィンドウ幅より計算される質量分解能の違いを『低分解能』『高分解能』と表現している。AccuTOF™ GCでは、常に高分解能状態(R≧5000@m/z 293)で測定を実施している。
Fig.1に示すように、低分解能マスクロマトグラム(QMSレベル)では、夾雑成分の影響を殆ど排除出来ず、主としてオイル成分が観測されたのみであった。一方、高分解能マスクロマトグラムでは、夾雑成分の影響を排除し、5塩素化体のクロマトグラムピークのみを抽出出来ている。
AccuTOF™ GCは高い分解能を有したGC/TOFMSシステムであり、大量の夾雑成分を含む実試料においても有効なツールとなることが期待される。(U)

Comparison of mass chromatograms for penta-chlorinated PCBs in oil.

Fig.1 Comparison of mass chromatograms for penta-chlorinated PCBs in oil.

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