ファンデーションの直接分析
MSTips No.D023 Application Note for DART
ファンデーションは女性には必需品とも言ってよい化粧品の一つですが、襟元などによく汚れとして残ることがあります。今回は市販されている液体ファンデーションを布に付着させ(Fig.1)、それを前処理無しで DART(Direct Analysis in Real Time)イオン源を用いて直接分析を行ないました。また、異なる 3 社のファンデーションをサンプルとして使用し、成分の比較も試みました。
測定は He ガスを流し、ガスヒーター温度を200℃に設定した条件下で、ファンデーションを付着させた布を DART イオン源のサンプリング領域にかざすという方法で行なった。 測定の結果、3社ともm/z 371 が共通成分として検出された。このイオンは精密質量よりC10H31O5Si5という 組成が得られ、デカメチルシクロデカンペンタシロキサンの[M+H]+であると推定された。また、A社のみに m/z 223が検出されていた。このイオンは精密質量からC10H15O2Si2と推測される。 このようにDART を用いることで、サンプルの形状を問わずに定性分析することができるため、衣類の汚れ の直接分析などにも応用が期待できる。
Fig.1 布に付着したファンデーション
Fig .2 ファンデーションのマススペクトル(上段:A 社、中段:B 社、下段:C 社)
Measured m/z | Calculated m/z | Error (x 10-3) | Elemental composition | Unsaturation |
223.06194 | 223.06106 | 0.88 | C10H15O2Si2 | 5.5 |
371.10100 | 371.10178 | -0.78 | C10H31O5Si5 | 0.5 |
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