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活性酸素消去能評価法 1. −superoxide anion radical O2・-

ER070002

種々の活性酸素が様々な酸化反応を引き起こし、疾病の引き金となる生体障害の原因となることは良く知られています。そこで、活性酸素消去(抗酸化)能の評価が医薬品、食品、サプリメント開発等の広い分野で行われています。ここでは、生体内で生成する代表的な活性酸素である superoxide anion radical (O2-) の消去能の評価法についてご紹介します。

  1. 用いる試薬とその調製法
    試薬 メーカー 調製濃度 Sampling Vol./Assay
    ①DMPO ラボテック 原液 15μl
    ②Hyx シグマアルドリッチ 5 mM-H2 50μl
    ③Buffer/DMSO(1/5dil) - 0.1 mole/l 35μl
    ④標準品(SOD)/試料 各濃度or buffer 50μl
    ⑤ XOD ロシュ 0.4 U/ml-buffer 50μl
    Total 200μl
    DMPO : 5,5-dimethyl-1-pyrroline-N-oxide (スピントラップ剤)
    Hyx : hypoxanthine
    Buffer : 0.1 mole/l Phosphate buffer (pH7.8)
    DMSO : スペクトル上に共存するDMPO-OHの影響が大と考えられる場合に添加する
    SOD : superoxide dismutase
    XOD : xanthine oxidase
  2. 測定手順
    1.上記の各試薬溶液を連続的に、番号順に試験管に採取する。
    2.④を採取後ミキサーで1~2秒間混和後、⑤を添加してただちにミキサーで充分(約5秒間)撹拌する。
    3.混合した溶液を水溶液セルに吸い上げてキャップをし、セルの外側に水溶液が残らないよう紙製ウエスで拭き取ってからキャビティに挿入する。
    4.混合液にXODを添加直後から一定時間(ex. 1分)後にESR測定を開始する。
    5.得られたスペクトルから、Mn2+のピークとDMPO-O2-ピークの高さをそれぞれ読み取り、相対強度(R=DMPO-O2-/Mn2+)を算出する。(図1参照)
    図1 DMPO-O2-スペクトル(DMSOを添加した場合)
    図1 DMPO-O2-スペクトル(DMSOを添加した場合)
  3. ESR測定条件
    Field : 335±5 mT,  Power : 4~8 mW, 
    Modulation Width : 0.079 mT,  Sweep Time : 2~4 min, 
    Time Const. : 0.1~0.3 sec,  Amp : 250~400
  4. DMPO-O2-のスペクトル解析
    図2にDMPO-O2-のESRスペクトルのバーグラムを示しました。この場合不対電子はN-O軌道上に局在しており、近接しているN原子およびβ位のH原子、γ位のH原子それぞれの核スピンの影響で図のように12本に分裂します。これら信号の両脇に認められる微弱な信号は、共存するDMPO-OH信号の一部です。DMPO-OHの生成を抑えるためにはDMSOを添加します。この場合、DMSOがHOと反応して生じたDMPO-CH3(図1 +印 本来6本出現するがここでは2本はDMPO-O2-に重なり不明瞭)が観察されます。
    図2 DMPO-O2-スペクトルのバーグラム
    図2 DMPO-O2-スペクトルのバーグラム
  5. 抗酸化能評価
    上記1.の試薬混合系に抗酸化能を持つ試料を添加すると、DMPO-O2-信号はその抗酸化能の強さに応じて減少します。お手持ちの試料の抗酸化能を測定する場合は、まずSOD溶液の希釈系列を調整して検量線を作成します。SODはO2- に対する抗酸化能が極めて強い物質として知られているため、標準物質に適しています。上記1.の混合系にそれぞれ添加して得られたスペクトルからそれぞれの相対強度Rを求めて添加したSOD量に対してプロットします。次に、未知試料溶液を同様に上記1.の混合系に添加して、それぞれの場合のRを求め、検量線からSOD相当量として抗酸化能を求めます。
    (アプリケーションノートER040001,ER040004 をご参照ください)
  6. 試薬取り扱い上の注意
    • DMPOは不安定な試薬で、熱、紫外線、酸素によりバックグラウンド信号を与える変性物を生じるので注意が必要。融点が35℃程度なので、使用量のみ融解して取り分け、残りはすみやかに冷凍保存する。試薬ビン内を窒素ガス置換して保存すると、比較的長期保存可能と思われる。
    • hyxは難溶性なので、50℃程度の湯浴で溶解する。冷蔵保存で約1ヶ月保存可能。
    • SODは必ずbuffer で溶解する。
    • XODは、O2・-生成活性のロット差が大きいので注意が必要。不安定な酵素なので開封後は1ヶ月以内に使用する。
    • SOD希釈系列の1例:30, 15, 7.5, 3.75, 1.88, 0.94, 0 unit/ml(XODの活性および評価試料の活性により、適切な設定範囲が変動するので使い分ける)

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