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光励起によるポリマー重合反応の測定 (メタクリル酸メチルラジカルの例)

ER090002

ポリメタクリル酸樹脂は、多くのプラスティック製品および接着剤として利用されています。その重合反応時に生じているラジカルの測定をESRにて試みました。

試料には歯科用メタクリレート光硬化接着材を用いました。本試料可視光重合品ですが、ここでは紫外線照射装置(ES-USH500)を使用して光照射を行いました。試料を試料管に採取してキャビティに設置後、キャビティ前面の照射窓から照射しました。 図1 に示したように照射開始直後に反応開始剤に由来するラジカルが認められ、経時的に二次ラジカルのメタクリル酸メチル由来の生長ラジカルが確認されました。反応開始剤ラジカルが消滅した後にMn Marker を加えずに測定したスペクトルを下段に示しました。本ラジカルの構造は図2 に示したものと推測されています。

図1 紫外線照射によりメタクリル酸メチル接着剤中に生じたラジカルの経時変化,図2  メタクリル酸メチルとそのラジカルの構造

本ラジカルでは、α-メチル基の自由回転により3つのプロトンが不対電子に対して等価となります。
一方でβ-メチレン基は回転が制限されているため、2つのプロトンのうちの一方のプロトンが立体配置的にα-メチル基のプロトンと等価となりますが、もう一方のプロトンは、不対電子とカップリングを示さないと考えられています1)。そのため、4つのプロトンが不対電子と等価にカップリングして図1 に認められた強度比1:4:6:4:1のスペクトルを与えたと考えられます。こうした重合生成物は、時間と共に重合度を増して高分子を形成していきます。その過程で生じる生長ラジカルの研究も盛んに行われています2)ので、ESR を用いたラジカルの直接観測による高分子重合反応の解析をご検討いただいてはいかがでしょうか。

参考文献

1):T.Komatsu, T.Seguchi, H.Kashiwabara and J.Sohma J.Polym.Sci., Part C. 16, 535(1967)
2):梶原 篤:日本電子ニュース2008,pp34-45

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株式会社トクヤマデンタル様

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