ビタミンC/アスコルビン酸ラジカルのESRによる測定
ER120001
ビタミンC (V.C)/L-アスコルビン酸(図1(a))は、最もよく研究されているビタミンの一つです。水溶性抗酸化物質として知られ、食品の添加物としても利用されています。容易に自動酸化され、水溶液中でも図1(b)のDehydroascorbic acid(DHA)ラジカルを与えます。

図1 (a) V.C の構造
(b) DHAラジカルの構造
1MのV.C水溶液を調製して30秒間窒素ガス通気後、測定したところ図2のスペクトルが得られました。V.Cラジカルでは、不対電子はC1からC3の3つのカルボニル上に非局在化していますが、酸素原子上にかなりのスピン分布をもつと考えられています1)。

図2 V.CラジカルのESRスペクトル
本ラジカル信号の部分を図3に拡大しました。a4H=0.18mTおよびa6CH2=0.019mTの分裂が得られていることが分かりました。これはV.Cラジカルに特徴的なパターンです。
図3 V.Cラジカルのスペクトルパターン
V.Cラジカルの量から、存在する環境の酸化還元状態を反映した情報が得られると考えられています2)。
参考文献
1) G.P.Laroff et.al. J.Amer.Chem.Soc. 94 9062-9073 1972
2) G.R.Buettner et.al. Free Radical Biology & Medicine 14 49-55 1993