新しい温度可変装置 ES-DVT5
ER120004
はじめに
JES-X3型ESR装置の販売開始にともない、温度可変装置もリニューアルしました。
JES-FA型ESR装置のオプションとしてご利用いただいたES-DVT4温度可変装置をさらに発展させたES-DVT5では、実温度と設定温度の差異をリアルタイムに監視しながら、ヒーター応答性を高速化するとともに発熱量を最適化することで、従来より短時間で目的温度に到達できるだけでなく、設定温度近傍での温度安定性も格段に向上しました。
分光計とのオンラインによるシーケンシャル制御機能もさらに強化され、より簡便に、さまざまな設定条件での自動動作が可能となりました。
ES-DVT5の特徴
ES-DVT5温度可変装置
ES-DVT5温度可変装置は、JES-X3型ESR装置のホストPCにUSB接続されます。ESR本体のGUIメニュー上で温度を設定すると、自動的に液体窒素フラッシュ量やヒーター電力を調節して試料を目的温度に変化させます。
ES-DVT5では、ヒーターの応答性の高速化のためDC電源とするとともに、従来の2倍の速度で温度サンプリングすることで、‐170℃~+200℃の温度範囲内で任意の温度に、より短時間にオーバーシュート少なく到達することが可能となりました。
下図にDVT4型とDVT5型での50℃ → 100℃への変化(左)と0℃ → ‐50℃への変化(右)の際の温度の時間依存性を示しました。
どちらのケースでも設定温度への到達時間が50%以下になっていることがわかります。待ち時間が半減することで温度可変測定での総計測時間が短縮するほか、冷媒である液体窒素の節約も可能となります。このことは、スピンラベル法など温度を逐次変化させながら測定する場合、特に顕著となります。設定温度到達後の安定性についても、DC電源による発熱量の平均化により温度変動幅が従来比50%以下となりました。これにより、長時間にわたって安定したESR測定が可能です。
温度変化に要する時間の比較(左)50℃ → 100℃、(右)0℃ → ‐50℃