水溶液試料測定セル(ES-LC12)のご紹介 − 高感度測定用 −
ER140001
X-band 帯のマイクロ波を用いるESRは、通常外径5mm(内径4mm)の標準試料管を用いて測定を行います。しかし水溶液試料は、誘電損失が大きいためこの試料管では測定できません。水溶液試料を感度良く測定するためには、扁平型の水溶液用セル ES-LC12が有用です。 図1で示したように、幅約10mm測定部約50mmの扁平型のセルで、内側の厚さは0.25mmです。このように、水溶液の厚みを薄くすることで、誘電損失を軽減しています。測定部の内容量は約130μlです。専用のアルミホルダーは固定タイプで、最初に高さ調整を行えば測定の度にセッティングデバイスで位置調整をする必要はありません。
測定試料調製後に、キャップをはずしてセルの先端を試料液 に浸し、付属の吸引ポンプでセル内に吸引します。その後 キャップを付けて、キャビティに挿入します。
- 注意:
セルをキャビティに挿入する前に、必ず紙製ウエス等でセルの外側に付着した溶液をふき取ってください。水溶液がセル表面に付着したままキャビティに挿入すると測定できないだけでなく、キャビティ内部を汚染する恐れがあります。

図1 ES-LC12の測定部

図2 取り扱い方 ホルダーの上部のガラス部を持ち キャップの取り外しを行う
ESRはマイクロ波を照射して測定するため、水溶液の測定が高感度にできるようになったのは、ESRの歴史的には比較的最近です。弊社では、スピントラップ剤を用いた水溶液中の活性酸素の測定を応用し、種々の化学物質や食品成分等の抗酸化能評価法を提唱してきました。同様に、水溶液中で活性酸素を生成する化合物の評価にも利用されています*。 その他の水溶性常磁性物質の測定やスピンラベル剤を用いた実験に有用と考えられますので、どうぞご活用ください。
*:弊社アプリケーションノート ER040008, ER060001, をご参照ください