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材料のESR−顔料 (1)

ER200002

顔料

顔料は着色に用いる粉末で水や油に不溶な原料です。塗料、合成樹脂、化粧品、食品などの着色に利用されています。顔料はその組成から無機と有機の2つに分けられます。無機顔料は、鉱物を加工した天然の顔料と化学的に合成された顔料があります。有機顔料は、有機化合物の成分を用いた顔料です。

顔料のESR信号

顔料が含まれている市販のアクリル絵具のESR測定例をご紹介します。アクリル絵具は、顔料、水溶性樹脂、界面活性剤が混合されています。試料はウルトラマリン、フタロブルー、マンガニーズブルーフタロを用いました。試料はキャピラリにそれらを約1mg取り(図1の写真参照)、さらにそのキャピラリを試料管に入れました。 ESR測定は室温で行いました。ウルトラマリンからはg=2.03付近にESR信号が観測されました(図1(A))。この信号は硫黄ラジカル(S3-)に由来すると考えられています[1]。 フタロブルーとマンガニーズブルーフタロでは、広幅なESR信号が観測され、そのg値と線形からCu2+やMn2+に帰属されました(図1(B)、(C))。これらの金属イオンは各試料に含まれるフタロシアニン顔料等に由来していると考えられます。 フタロブルーとマンガニーズブルーフタロでは含まれる金属イオンの種類は類似していても、その量や混合比は異なります。 このように類似の色彩を持つ顔料でも、ESR信号により識別ができれば、絵画や壁画などに使用されていた顔料を推定する手がかりとなる可能性があります。

図1

図1.顔料のESR信号
(A)ウルトラマリン (B)フタロブルー (C)マンガニーズブルーフタロ 

参考文献

[1]B. Andrzej et al. (1999):Temperature dependence of the EPR linewidth of ultramarine blue, Magnetic Resonance in Chemistry, 37, S150-S153.

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