低真空SEMによる水道水を濾過したフィルター上の異物の分析
MP180325-03
水道水濾過フィルター上異物の観察
水道水を濾過したフィルターを、光学顕微鏡と低真空SEMで観察しました。光学顕微鏡で観察では、①黄色の異物と②粒子状物質が観察されました。同一箇所を、SEMの反射電子像で観察すると、そのコントラストにより、①黄色の異物は平均原子番号が大きい元素が含まれている物質であることが分かりました。また、②粒子状物質は比較的平均原子番号が小さい物質であることが分かりました。
図1 光学顕微鏡画像

図2 反射電子像

加速電圧15kV 撮影倍率x350 真空度40Pa
水道水濾過フィルター上異物のEDS分析
①黄色の異物と ②粒子状物質の元素分析をおこないました。分析領域は、それぞれの四角の範囲です。①黄色の異物は、C、Oの他に、Si、P、Ca、Feが検出されました。特に、Feが多く検出されていることから、配管由来の異物である可能性が考えられます。②粒子状物質は、C、Oの他に、N、Al、Si、S、Ca、Feなど様々な元素が含まれていました。
なお、両者から検出されたCとOは、異物等に含有されているものの他に、フィルターそのものから検出されている可能性があります。
図3 ①黄色の異物 分析結果

図4 ②粒子状異物 分析結果

異物のEDS元素マッピング
図5は、水道水を濾過したフィルターの観察視野をEDS元素マッピングした結果です。
①黄色の異物のSiとFeは、異物全体に分布している様子が分かりました。②粒子状物質から検出されたSiやCa(○印部分)は、粒子状物質全体ではなく、一部に存在していました。特にSiは、粒子状物質以外の部分にも微細な粒子として存在していることが分かりました。
このように、元素マッピングで分布を見ることで、その元素が目的物の全体に存在するのか、一部に存在するのかが明確に分かります。
図5 反射電子像とEDS元素マップ





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