高分解能固体NMRにおける高磁場の有効性(ケース2:無機化合物の場合)
NM050005
近年、11B(I=3/2)、23Na(I=3/2)、27Al(I=5/2)などの半整数スピン核の固体NMR測定が注目されています。300MHz、400MHzといった低磁場NMRでは、これらの核の信号は核四極子相互作用によって広幅化し解析が困難 となっていました。
しかし、核四極子相互作用は静磁場に反比例して弱くなることから、静磁場が高くなるにつれ通常の磁場上昇による分離以上に信号がシャープになり、スペクトルが単純化し、解析しやすくなります。
Fig.1に高磁場化による27Alの分離能の向上を示します。ここで使用したAlPO4は比較的核四極子相互作用が小さいサンプルですが、静磁場の上昇によって6配位、5配位、4配位の3種類の信号がはっきり区別出来るようになっています。

Fig.1 高磁場化に伴う27Alの分離能の向上
測定試料:AlPO4
観測核:27Al
測定法:Single Pulse Flip Angle:15deg
測定試料:AlPO4
観測核:27Al
測定法:Single Pulse Flip Angle:15deg