H2BC & Edited H2BC ~ 2JCHの選択的観測 ~
NM070003
HMBC 測定におけるロングレンジ相関信号は磁化移動時間1/2 nJCHに依存します。ところが、nJCHの値は結合数によって決定されるわけではなく、立体構造に依存した電子状態によって決まります。従って、相関信号は経由した結合の数に関する情報は与えてくれません。特に2JCH と3JCHではその値に大きな差はなく、それぞれの相関信号を区別できないことが信号の帰属を困難にしていました。H2BC(Hetero- nuclear 2-Bond Correlation)は、2結合離れた1H-13Cの相関のみを検出するため、原理的に3結合以上離れた相関信号は現れず、帰属が明確になります。またeditedタイプの変形も提案されており、Multiplicity Edited HMBCと同様に1級3級と2級4級を区別することができます。

strychnine の Edited H2BC スペクトル
1J max = 170 Hz, 1J min = 125 Hz, y_points = 128, T = 22 msec

strychnine の H2BC とHSQC

strychnine
H2BCとHSQCの相関信号同士を繋いでいくことで、13Cの連結を帰属していくことができます。従って、H2BC とHSQC の組み合わせは、1Hの結合している13Cの配列を決定する測定法と言えます。
測定装置:JNM-ECX400

H2BC測定とEdited H2BC測定のパルスダイアグラム
Reference
N.T. Nyberg, J.Ø. Duus and O.W. Sørensen, J. Am. Chem. Soc., 127, 6154 (2005)
N.T. Nyberg, J.Ø. Duus and O.W. Sørensen, Magn. Reson. Chem., 43, 971 (2005)