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DOSY法の応用~ゲスト包接解析~

NM070014

シクロデキストリンのようなゲスト包接機能を有する化合物(ホスト)の包接挙動解析は様々な 分析法によって行われています。その中でもNMRによる解析は化学シフト変化から錯形成を確認する ことや、差NOEまたはNOESYを使った立体構造解析が中心に行われています。
一方、近年その測定法や処理法の確立によって実用的になりつつあるDOSY法は混合物であっても その拡散係数の違いにより各成分のNMR信号を分離できる方法であり、様々な分野への応用が期待 されています。ここではゲスト包接解析にDOSY法を応用した例をご紹介します。

テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)キャビタンド1とテトラ(4-ピリジル)キャビタンド2はクロロホルム溶液中において水素結合により自己集合しヘテロダイマーカプセル1・2を形成します。
このヘテロダイマーカプセルは内部に空間を有し、ゲストをカプセル内に包接することができます。 例えば、p-ジアセトキシベンゼンをヘテロダイマーカプセルに対して1当量加えると1:1で錯形成します。
この挙動は1Hスペクトルの化学シフト変化より確認することができ、NOESYスペクトルはヘテロダイマーカプセルの空孔内にゲストが包接された形で錯形成していることを示す結果となりました。

DOSY法による解析

図1はp-ジアセトキシベンゼンを包接したヘテロダイマーカプセル1・2(p-diacetoxybenzene@(1・2))とp-ジアセトキシベンゼンを1:1で混合した溶液のDOSYスペクトルです。DOSYスペクトルより拡散係数が大きく異なる2つの成分が確認できます。拡散係数の大きい(スペクトル上)成分は単独のp-アセトキシベンゼン、拡散係数の小さい(スペクトル下)成分は包接体p-diacetoxybenzene@(1・2)です。ヘテロダイマーカプセルに包接されているp-ジアセトキシベンゼンとヘテロダイマーカプセルの拡散係数はほぼ同じであり これはゲストが確かに包接されている証拠となります。またカプセル内と外のp-ジアセトキシベンゼンの存在を別々に観察することができます。この結果は平衡状態におけるゲスト交換がNMRタイムスケールより 遅くp-diacetoxybenzene@(1・2)が安定な包接体である事を示しています。
このように拡散係数とDOSY法による解析により、錯形成を強く支持する結果が得られました。

*本測定例は静岡大学 小林健二先生との共同研究によるものです。

参考文献

Orientational Isomerism Controlled by the Difference in Electronic Environments of a Self-Assembling Hetertodimeric Capsule Kenji Kobayashi, Ryosuke Kitagawa, Yoshifumi Yamada, Masamichi Yamanaka, Takako Suematsu, Yoshihisa Sei, and Kentaro Yamaguchi J.Org.Chem. 2007, 72, 3242-3246.

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