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半整数四極子核NMRの感度向上法:DFSとRAPT

NM120014

半整数四極子核スピンの中心遷移(CT)の感度向上は、サテライト遷移(ST)を操作することにより実現します。許容されるDm = ±1の遷移はCTとSTに分類されますが、STは一次の四極子相互作用によりブロードニングするのに対してCTはこのブロードニングを受けないことが知られています。このため、CTのオフレゾナンスに照射することにより、STのみ操作することが可能になります。STの飽和や反転は、STの分極をCTに移動させCTの分極増大につながります。

NMR spectra

STの反転はアディアバティックに周波数掃引することにより実現します。DFS(Dual Frequency Sweep)と呼ばれる周波数掃引強度変調rf磁場により、CTの両側のSTを同時に反転させることが可能です。静止試料RbNO387Rb (I = 3/2)のNMRスペクトルの信号強度はDFSにより2倍に増大しました。DFSはMASのもとでも用いることができ、1.8倍の感度向上が実現しました。MASはST周波数に時間依存性を持たせるため、その他のST操作法が可能になります。この時間依存性のために RAPT (Rotor-Assisted Population Transfer)という単一周波数での強度変調パルスによる感度向上が実現し、1.6倍の感度向上を記録しました。なお、MASがなければ、RAPTはごく一部のSTを飽和させるだけとなり、静止試料ではほとんど感度向 上の効果が得られないことに注意してください。RAPTはDFSと比べるとわずかに感度向上の効果が低いですが、調整するパラメーターが少ないので使いやすいシーケンスとなっています。

JNM-ECA600 with 3.2 mm HXMAS Sample: RbNO3

参考文献

DFS: A.P.M. Kentgens, R. Verhagen, Chem. Phys. Lett. 300 (1999) 435-443. RAPT: Z. Yao, H.T. Kwak, D. Sakellariou, L. Emsley, P.J. Grandinetti, Chem. Phys. Lett. 327 (2000) 85-90.

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