タンパク質-リガンド相互作用(I):STD測定
NM130007
Saturation Transfer Difference (STD) NMR分光法は、タンパク質と結合するリガンド化合物を識別 するためのスクリーニング手法として非常に有効な方法です1,2)。 この方法では、タンパク質を選択的にRF照射することで飽和させた磁化が、タンパク質-リガンド相互作用を持つ化合物のみに飽和移動されます。これによってタンパク質と結合したリガンド分子の信号強度が減衰します。したがって、飽和移動スペクトルと通常のスペクトルとの差を取ることにより、結合活性を持つ化合物を特定することができます。 この手法の実測例として、アルブミン、L-(+)-アルギニン、L-トリプトファンを用いた例を示します。STDスペクトルには、アルブミンとの結合活性を有するトリプトファンの信号のみが現れ、結合活性を持たないアルギニンの信号は消失することがわかります。測定はJEOL RESONANCE製JNM-ECS400で実施しました。以下は1Dおよび2DのSTD測定の結果です。

参考文献
- (1)Moriz Mayer and Bernd Meyer, Angew. Chem. Int. Ed. 1999, 38, 1784-1787.
- (2)Moriz Mayer and Bernd Meyer, J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 6108-6117.