多スピン系に有効な同種核J分解分光法
NM130013
J分解分光法は複雑にスピン結合した1次元スペクトルに対して、J値を読んだり、カップリングのない1次元スペクトルをprojectionとして得ることができるので有用な測定法です。しかし前者の目的の場合、多スピン系の場合ではF1軸側に分裂が重なって、各J値を正確に求めることが難しくなります。
対して下記のような選択パルスを使用した同種核J分解分光法である B-SERFph(Bi-SElective ReFocusing phased)では2本の信号を選択し、その信号間のスピン結合のみによって分裂したスペクトルパターンとなります。その結果、信号パターンが単純になり、ストロングカップリングの影響もなくなるため、解析が容易になります。
【同種核J分解分光法のH1の相関信号の拡大図】
【B-SERFphのH1の相関信号の拡大図】

H1ではH2, H3, H3’とのスピン結合による分裂があり、H1と、どのHとのカップリングかわかりづらいスペクトルパターンとなっています。
測定条件でH1とH2の信号を選択し、JH1H2以外の信号を励起せずに測定しているので、スペクトルパターンが単純で解析が容易です。
【パルスシーケンス】

HIにH1の、HSにH2の信号領域を均一に励起できる条件をセットします。

HIにH1の、HSにH2の信号領域を均一に励起できる条件をセットします。
【立体配座解析の例】

B-SERFphで求めたJ値よりH1とH2がそれぞれanti配座であることが解析できます。

B-SERFphで求めたJ値よりH1とH2がそれぞれanti配座であることが解析できます。