2次元測定の途中経過を見たくありませんか?Delta NMRソフトウェアにはouter_scans機能があります!
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緩和時間測定などのアレー測定や2次元(多次元)測定は時間がかかるもの。測定終了まで待って、積算回数(scans)不足などでがっかりした経験はありませんか?1次元測定ならあらかじめ多めの積算回数を設定し、S/Nなどが十分になった時点で測定を止めればよいのですが、多次元測定ではそれほど単純ではありません。しかし、Deltaにはouter_scansという素敵な機能があります! outer_scansとmod_saveという機能を組み合わせることで、多次元測定の途中経過をチェックし、より長時間の積算が必要かどうかを判断できます。
ご存じの方も多いかも知れませんが、測定データを一定の積算回数ごとに保存するのがmod_save機能です。 Deltaの分光計コントロールウィンドウにおいて、JobタブのHeaderタブで「パラメータ追加」をクリックし、mod_saveを選択すれば、この機能が追加されます。たとえば積算回数(scans)が8192のとき、mod_save に1024を入力すると、8192回の積算終了までに1024回ごと(1024回終了時、2048回終了時、…)の積算結果がcopyファイルとして保存されます。DeltaVer.5ではcopyファイルはData Serverに蓄積されます。

多次元測定の具体例として、緩和時間測定を考えてみましょう。緩和を遂行させるintervalとして、interval= 0.1, 0.2, 0.5, 1, 2, 5, 10(s)の7点を与え、それぞれのintervalに対する積算回数(scans)を1024回に設定したとしましょう。くり返し時間が10sの場合、合計の積算時間は、(10.1 + 10.2 + 10.5 + 11 + 12 + 15 + 20)(s)×1024 = 25時間となります。通常の測定手順では25時間待って初めて、測定が十分であったかどうかが分かりますが、次に示すouter_scansとmod_saveを組み合わせた測定手順を用いると、たとえば数時間ごとの測定結果をチェックすることができます。
通常の測定手順では、前述のアレー測定において最初にinterval=0.1(s)に対して1024回積算し、最後にinterval=10(s)に対して1024回の積算を実行します。しかしながら、同じ総積算回数1024回は、128回の積算を1つのまとまりにして、これを8回「外部から積算する」ことで遂行できます。つまり、interval=0.1(s)に対して128回積算、interval=0.2(s)に対して128回積算、…、interval=10(s)に対して128回積算、という動作を8セットくり返せばよいのです。その場合、1セット、2セット、…の測定が終了した時点の結果はすべてのinterval値を実行させたものとなり、途中経過の判定に用いることができます。

具体的には、「外部からの積算」を実行するために、outer_scansというパラメータをAcquisitionタブで追加します。上の例では、outer_scansの値として8を、またscansとして128を入力します。さらに、各セット終了時の途中経過を保存するために、mod_save機能を用います。mod_saveの値は、1セット分の積算回数、すなわち7点(0.1,0.2,…,10s)に積算回数128回を掛けた回数、7×128=896を入力します。このように設定することにより、各セット終了時(約3.2時間ごと)の積算結果がcopyファイルとして保存されます。
