大容量8mm MASプローブを用いた定量NMR ~試料回転速度の制約をPASS法で克服する~
NM140008
固体NMR用 大容量 8mm MASプローブは世界最高クラスの感度を示す一方、試料回転速度が比較的低速になり、核種・試料によってはスピニングサイドバンドを生じます。この結果、メインピークの感度が相対的に低くなり、また定量性が失われる可能性があります。しかし、PASS (Phase Adjusted Spinning Sideband) 法を用いると、スピニングサイドバンドを個別に取得し、足し算することで本来のピークを回復することができます。
右図はガラス試料に対する29Si MASおよびPASSスペクトルです。
また下図に示したMAS、TOSS、PASSスペクトルの比較より、PASS法がスピニングサイドバンドの総和により強度を取り戻していることが分かります。


PASSスペクトルはピークがスピニングサイドバンドに分配されないため定量性が保証され、線形解析によってサイト分率などを決定することができます。

詳細を解説した資料 “ T. Nakai, New Glass, 28(2), 17-28 (2013) “ をご要望の方は営業・販促までお問い合わせください。
試料提供
旭硝子株式会社様