超高速MASによる二次元異種核相関(CP-HSQC法)を利用した微量試料の天然存在比13C観測
NM150009
超高速MASの利用により固体NMRにおいても水素核検出タイプの異種核相関スペクトルの測定が有用である例を示したいと思います。水素核検出タイプの測定は大変感度が良いので炭素13のような天然存在比の低い核種を2次元NMRよって観測を行う際に非常に有効です。溶液NMRにおいては異種核二次元NMR測定おいてはJカップリングを利用した磁化移動が使われますが、横緩和(T2緩和)時間の非常に短い“固い”固体試料にはJカップリングによる磁化移動では超高速MASをもってしても水素核の緩和時間が短すぎるため不十分な場合があります。ここでは交差分極(CP)を組み合わせた水素核検出タイプの異種核二次元NMR法(CP-HSQC法)をご紹介します。
1H/13C CP-HSQC パルス系列

1H-13C CP-HSQC NMRスペクトル(試料:f-Met-Leu-Phe-OH トリペプチド)

1H-13C CP-HSQC NMRスペクトル(試料:有機修飾メソポーラスシリカ)


参考文献
Y. Nishiyama, T. Kobayashi, M. Malon, D. Singappuli-Arachchige, I.I. Slowing, M. Pruski, Solid State Nucl. Magn. Reson. 66-67 (2015) 56-61.