SuperCOOLプローブを利用したINADEQUATE法
NM180005
4級炭素同士の結合が多く含まれるような化合物では普段構造解析で用いているCOSY, HSQC, HMBCだけでは構造を決めることは困難です。
そういった化合物に対しては13C-13Cの結合を観測できるINADEQUATE法を用いることで構造を帰属できる可能性があります。ただし、INADEQUATE法は通常の13C測定のS/Nに比べ、約1/200と著しく感度の悪い測定法です。そのため非常に高濃度で調製した試料を長時間測定しない限り相関信号が観測ができません。このような低感度の測定法ですので、極低温プローブを使うことによる測定時間短縮のメリットが非常に大きいです。
INADEQUATE法の解析の仕方
INADEQUATE法の相関信号は傾き2の対角線に対して左右対称にダブレットで観測されます。
図1ではCBとCEが互いに隣り合っている13Cであることを示します。またお互いの分裂幅は等しくJ(CB, CE)のカップリング定数になります。

図1: INADEQUATE相関の模式図
Genisteinは大豆由来のイソフラボンの1つで抗酸化作用が確認されている化合物です。構造中に多くの4級炭素を持ち、また4級炭素同士の結合箇所も多く存在します。この化合物のINADEQUATE法の結果が図2になります。極低温プローブを用いることで13Cの約1/200の低感度の測定法が十数mgの試料量で測定可能です。INADEQUATE法によりGenisteinの全ての13C-13C相関が明らかとなりました。

図2: INADEQUATEスペクトル

使用装置: JNM-ECZ600R, SuperCOOLプローブ
試料: 100mM(16mg) Genistein/DMSO-d6
測定時間: 18時間 (standard tubeを使用)
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