2mmMASプローブによる19F NMR
NM180013
2mmMASプローブは3.2mmMASプローブの2倍近い最高回転周波数と1mmMASプローブの20倍の試料充てん量を実現した多用途な固体プローブです。2mmプローブの有効なアプリケーションとして19F NMRがあります。19Fは同種核双極子カップリングと広い化学シフト範囲をもつため、多くのスピニングサイドバンド(SSB)が生じます。
3.2mmプローブではSSBにより解析が困難ですが、2mmプローブによる40kHzの試料回転により、SSBの影響がほとんどないスペクトルを得ることが出来ます。
ここでは、測定例として燃料電池の固体高分子電解質膜としてよく用いられるNafionの19F NMRスペクトルを紹介します。Fig.1はNafionの19F NMRスペクトルの試料回転周波数依存性です。 Nafionの19F NMRスペクトルは-80から-140ppmまで幅広い化学シフトのピークが存在しますが、40kHzの試料回転により、600MHzの装置でもSSBがセンターバンドに重ならないスペクトルを得ることが出来ます。また2mmプローブは充填試料量の多さから1mmプローブに比べ感度が圧倒的に高いため、13Cの様な低感度の核種も直接観測できます。そのため、13C {19F} CPMASスペクトル(Fig.2)や13C-19F異種核相関(HETCOR)スペクトル(Fig.3)も容易に得ることが出来ます。


Chemical structure of Nafion
JNM-ECZ600R, 2mmHXMAS probe

Fig.1 19F single pulse at various MAS frequencies. Peaks marked by * represent SSBs.

Fig.2 13C {19F} CPMAS

Fig.3 13C-19F HETCOR with high (left) and low (right) level thresholds.
- Reference: Q. Chen and K. Schmidt-Rohr, Macromolecules 2004, 37, 5995-6003
- Nafionは米国ケマーズ社(The Chemours Company)の商標です。
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