NOAHシーケンスを用いたハイスループット二次元NMR測定
NM190005
NOAH (NMR by Ordered Acquisition using 1H-detection)[1]は、COSY、HSQC、HMBCなどの複数の二次元NMR測定法を一つのパルスシーケンスに収めた測定方法です。比較的小さな分子の二次元NMR測定において有効で、従来の測定方法に比べて測定時間を短縮することが可能です。
NOAHシーケンス
図1および図2に、一般的な二次元NMR測定シーケンスとNOAHシーケンス模式図を示します。一般的な二次元NMR測定では、それぞれの測定シーケンスに各々のRecovery Delay (Relaxation Delay) が含まれます(図1)。一方NOAHシーケンスは、複数の二次元NMR測定シーケンスと一つのRecovery Delay から成ります(図2)。そのためNOAHシーケンスを用いた測定では、複数の二次元NMR測定に要する全体としての測定時間が、一般的な二次元NMR測定に比べて短くなります。

図1: 一般的な二次元NMR測定 模式図

図2: NOAH測定 模式図
[1] Ē. Kupče, T. D. W. Claridge, Angew. Chem. Int. Ed. 2017, 56, 11779.
NOAH-3シーケンス測定例
図3にHMBC、edited HSQC、およびCOSYから構成されるNOAH-3(図3(a))の測定例を示します。
NOAH-3によって、1H-13C HMBC 、1H-13C edited HSQC、および1H-1H COSY データが測定時間10分で一度に得られました。

図3: NOAH-3測定例
試料:10% 桂皮酸 cis-3 ヘキセン-1-イル
Cinnamic acid cis-3-hexen-1-yl ester) chloroform-d 溶液
使用装置:JNM-ECZ400S、ROYALプローブTM HFX
測定時間:10分(積算回数 1回)
- このページの印刷用PDFはこちら。
クリックすると別ウィンドウが開きます。
PDF 1,323 KB