ROYALプローブ™ HFXを用いた14Nデカップリング 1H–19F HOESY
NM190012
含フッ素、及び含窒素有機化合物は、医薬や材料科学などの様々な分野で用いられています。このような化合物の多くは分子のコンホメーションや分子間に働く相互作用により、特異な機能を持つことが知られています。そのため、分子内/分子間に働く弱い相互作用の解析が重要となります。ここでは、フッ素化ベンズアニリド(1)をモデル化合物とし、14Nデカップリング条件化での1H–19F HOESY (異種核NOE)測定をご紹介します。

14Nデカップリング1H–19F HOESY(異種核NOE)の測定
14N核に結合した1H核は信号がブロード化し、解析が困難となる場合が多々あります。 14Nデカップリングのあり、なしの条件で測定した一次元1H–19F HOESYのスペクトルを図1に示します。上段がF5、下段がF6を選択励起したスペクトルです。14Nデカップリング条件下で測定したスペクトルは、アミド1Hの信号強度が約2倍に向上しています。NOE測定は一般に感度が低いため、14N核に結合した1H核との相関を観測する場合に、14Nデカップリングは有効な手段となり得ます。14Nデカップリング条件下での二次元HOESY測定も可能です(図2)。

図1. 1の14Nデカップリングありとなしでの一次元1H–19F HOESYスペクトルにおけるアミド1Hの信号強度の比較
(上段:F5を選択励起 下段:F6を選択励起)

図2. 1の14Nデカップリング二次元1H–19F HOESYスペクトル
試料: 36 mg フッ素化ベンズアニリド/CDCl3
使用装置: JNM-ECZ400S、ROYALプローブ™ HFX (14N核測定対応プローブ)
参考文献
G. N. Manjunatha Reddy, M. V. Vasantha Kumar, T. N. Guru Row, N. Suryaprakash, Phys. Chem. Chem. Phys., 12, 13232–13237 (2010).
L. E. Combettes, P. Clausen-Thue, M. A. King, B. Odell, A. L. Thompson, V. Gouverneur, T. D. W. Claridge, Chem. Eur. J., 18, 13133–13141 (2012).
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