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T2フィルターの利用例 (高分子由来信号の低減)  

NM220002

主な用途と特徴

混合試料の測定において、高分子などのT2の短い成分由来のブロードな信号を低減させ、低分子などのT2の長い信号を強調するのに用います。例えば高分子材料に添加された低分子の添加剤などの解析に有効である他、プロテイン-リガンドの結合状態解析、メタボロミクスにおける血漿の解析などに用いられています。

T2フィルターの原理

NMR信号の減衰の速い信号はフーリエ変換 (Fourier Transform) 後にはブロードな信号になります。そして一般的には高分子材料の信号やOH、NHといった交換性の1H信号はブロードな信号になりやすい傾向にあります。一方で低分子試料のような運動性高いNMR信号は減衰が遅く、フーリエ変換後はシャープな1H信号になります (図1) 。T2フィルターはNMR信号の取り込み開始をずらして取り込むような測定です。その結果、図2に示すように減衰の速いNMR信号が減衰し、減衰の遅いNMR信号が残っている条件で測定すると結果的にシャープな信号を強調したNMR信号になります。また本資料では詳細は割愛しますが、Tフィルターも同様の用途で使用できます。

図1: NMR信号の長さと信号の線幅
図1: NMR信号の長さと信号の線幅
a) 減衰の速いNMR信号, b) 減衰の遅いNMR信号
図2: T2フィルターの効果 模式図
図2: T2フィルターの効果 模式図
a) 減衰の速いNMR信号, b) 減衰の遅いNMR信号

パルスシーケンスはT2測定で用いるCPMG (Carr–Purcell–Meiboom–Gill)、またはPROJECT (Periodic Refocusing of J Evolution by Coherence Transfer) をT2フィルターとして用います。本資料では発泡スチロールの試料でT2フィルターについて説明します。
図3に1Hスペクトル, T2フィルターの比較スペクトルを示します。(b)に示すようにT2フィルターによってブロードな成分 (ポリスチレン) が極端に低減し、それに隠れたシャープな信号を確認することができます。

図3: ポリスチレン試料におけるa) 1H スペクトル, b) T2 フィルターの比較スペクトル
図3: ポリスチレン試料における a) 1H スペクトル, b) T2 フィルターの比較スペクトル

T2 フィルターのパラメータ

Experiment: cpmg_project.jxp
Scans: 32
Delay_list: 2.5 [s]
Tau_step: 10 [ms]

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