ECZ Luminous™ の新機能1 ~多重周波数ドライブシステム~
NM220004
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ECZ Luminous™における多重共鳴測定
標準構成のNMR装置では高周波数側の周波数ソースが1チャンネル、低周波数側の周波数ソースが1チャンネルの合計2チャンネルになります。そのため同時に共鳴できる周波数は2核種までとなります。一方でECZ Luminous™では多重周波数ドライブシステム(MFDS: Multi Frequency Drive System) と呼ばれる新機能が追加されました。この機能を用いると例えば1つの周波数ソースから複数の周波数を同時生成し、試料に照射することが可能になります。図1に示すように、三重共鳴プローブを用意すれば、MFDSの機能により分光計のチャンネル拡張を必要とせずに三重共鳴測定が可能です。
本機能の一部はすでに旧機種であるECZシリーズでも採用され、ROYALプローブ™ HFXを使用時には高周波数側(1H, 19F)の二重共鳴が可能でした。
ECZ Luminous™ではさらにこの機能を発展させ、低周波数側の周波数ソース(例えば13Cと31P)にも適用可能となりました。従来、三重共鳴測定では、チャンネル拡張のために追加のコストや設置スペースを必要としましたがECZ Luminous™では、より気軽に三重共鳴の測定をお使いいただくことができるようになりました。
図1: ECZ Luminous™ の多重周波数ドライブシステム の模式図
図2にHCX三重共鳴プローブを使用した際の1H, 13C, 31P三重共鳴測定の例を示します。図2 b)に示すように1Hだけでなく31Pもデカップリングすることで信号の先鋭化、単純化が確認できます。
図3にHCN三重共鳴プローブを使用した、ラベルタンパク質の1H, 13C, 15N三重共鳴測定の例を示します。いずれも標準2チャンネルのJNM-ECZL600Gの装置で測定しており、きちんと三重共鳴測定が達成できていることがわかります。

図2: diethylmethylphosphonate in CDCl3の a) 13C{1H}, b) 13C{1H}{31P}スペクトル HCXプローブ使用

図3: 13C/15N labelled Ubiquitin in 90% H2O/10% D2Oの 3D HNCOCOスペクトル HCNプローブ使用