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冷却温度の違いによる麺断面状態の観察

SM065

水分を含む試料等のSEM観察では、試料形状を保持するために冷却状態での観察が望まれる。しかし、装置の設置場所によっては液体窒素の使用が困難なことがある。そこで、本アプリケーションノートでは液体窒素以外の冷媒による冷却方法を検証した。LV冷却ホルダーを用い、4通りの冷媒(冷却温度)で麺の断面観察を行った。

麺の断面比較

乾麺を同条件で茹でた後、表に記載した各温度に冷却し、切断もしくは割断を行った。観察は低真空モード(LV)で行った。

冷却温度 ①4°C(冷蔵庫) ②-20°C(冷凍庫) ③-79°C(ドライアイス) ④-196°C(液体窒素)
断面作製 断面割断ユニット(CSCIII型) 断面割断ユニット(CSCIII型) 凍結割断ユニット 凍結割断ユニット
取得倍率
×500
LV無蒸着

LV冷却
ホルダー
使用
4°C(冷蔵庫) -20°C(冷凍庫) -79°C(ドライアイス) -196°C(液体窒素)
観察手法 LV冷却ホルダーを冷蔵庫で冷却し、観察を行った。 LV冷却ホルダーを冷凍庫で冷却し、観察を行った。 LV冷却ホルダーをドライアイスで冷却し、観察を行った。 LV冷却ホルダーを液体窒素で冷却し、観察を行った。
断面評価 凍結していないため、剃刀による切断面を作製した。(試料に粘り気があり、デンプンとその他の部分の境界が不鮮明) 麺の凍結が不十分なため、断面作製時、デンプン粒を境に剥離する。デンプン粒の粒径は測定しやすい。 凍結割断が可能。
昇温前はデンプン粒周辺の氷晶の存在も確認できる。
凍結割断が可能。
液体窒素による凍結では、デンプン粒が氷晶に埋まっている状態を確認できる。
備考 4℃では水分が蒸発しながらの観察になる。組成分布の確認は可能。氷晶等の詳細な情報を得ることはできない。 -20℃でも水分が蒸発しながらの観察になる。
細かい粒などにより様々な剥離の仕方をする。
ドライアイス温度では、昇華までの時間が極端に短い。
凍結状態での観察は非常に難しい。
液体窒素による冷却では、安定した観察が可能。
結果 割断不可。
観察時、試料は乾燥している。
凍結割断不可。
観察時、試料は乾燥している。
凍結割断可能。
凍結状態での観察は難しい。
凍結乾燥状態の観察は可。
凍結割断可能。
凍結状態での観察が可能。

結論

凍結状態で観察するには、液体窒素は必須である。しかし、試料および目的に依っては、ドライアイスによる冷却でも、ある程度の結果を得られることがわかった。

ドライアイスによる麺の冷却時の凍結および凍結乾燥状態の比較

LV冷却ホルダーを用いた観察では、徐々に試料温度が上昇し、水分が昇華するため、観察中に凍結乾燥状態となる。この状態では、試料変形が生じる可能性がある。特にドライアイスを用いた冷却では昇華までの時間が短いため、凍結乾燥状態での観察となることが多い。 下図は麺が凍結状態から凍結乾燥状態になった時の麺の形態である。
凍結状態ではデンプン粒が氷晶に埋まっている様子が観察できるのに対し、凍結乾燥状態ではデンプン粒の周囲の氷晶が昇華し、空隙が出来ている。
凍結乾燥状態ではデンプン粒の大きさを確認することは可能であるが、氷晶の状態を見ることは難しいことが分かる。

ドライアイスによる麺の冷却時の凍結および凍結乾燥状態の比較
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