JASON Tips: Jカップリングシミュレーション
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JASONでスペクトルを開いた状態でコンテキストツール > 解析にチェックをつけると解析画面が表示されます。
その後、J結合シミュレーションを選択すると、J結合シミュレーターツールが展開します。
これを用いてカップリングパターンのシミュレーションを行うことができます。

ここで、「スピン数」にはNMR信号の数、「Frequency」には1Hの共鳴周波数、「線幅」にはNMR信号の半値幅を入力します。カップリングのシミュレーションに使用するため、通常スピン数は2以上を選択します。

スピン数2 (信号A, 信号Bの2スピン系) の場合、以下の図のような画面になります。そこで「Shift/ppm」にA, Bそれぞれの化学シフト、「No of Identical Spins」にそれぞれが1Hいくつ分なのか、「A (Hz)」にA-Bのカップリングが何Hzなのかを入力します。するとシミュレーション結果が表示されます。


例えば信号Aと信号Bの化学シフト差Δに比べ、信号Aと信号B間のカップリング定数JABが十分に小さくない場合、実際のスペクトルではそれぞれのダブレットの強度比は二次効果により、1:1からずれていきますがシミュレーションにおいても同様に二次効果を考慮した線形を反映しています。


二次効果についてはNMR装置の磁場強度が高いほど化学シフト差ΔをHz表示で表した際に大きな値になるため、二次効果の影響が小さくなります。
Frequency: 400MHz

Frequency: 800MHz

信号A、信号B、信号Cの3スピン系においてもシミュレーションが可能です。もし信号A、信号Cの間のカップリングがないケースをシミュレーションしたい場合は0Hzに設定します。


例えば参考文献のNMR装置の磁場強度、着目信号の化学シフト、カップリング定数の情報があれば、異なる磁場のNMR装置で測定したデータと比べるような場合に本シミューレーションの機能を利用することでより比較しやすくなります。
J結合シミュレーターの「保存」を選択し、次回このツールを立ち上げて「読み込み」を行うことでスピン数等の条件を保存時の状態に戻すことが可能です。

以上はJASON (JEOL Analytical Software Network) ver.2.1によるものです。