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さあ、定量NMRをやってみよう!(3)

Issue 10

通常測定と定量測定

NMRだけではないですが、近年は分析機器のオートメーション化が進んでいます。
弊社の装置ではワンボタンで1H、13Cそして2次元測定も可能です。しかし、NMRで定量する場合に気をつけたいこと、「自動測定は定量に向かない」という点です。
ご存知のとおり、NMRは他の分析機器に比べて感度が悪いので、NMRの技術開発は感度をいかに高くするか?ということにフォーカスされているといっても過言ではありません。それは装置上のパフォーマンスを上げるだけでなく、測定条件の上でもそうです。とにかく信号の検出ができること、そのためには多少の定量性を犠牲にして、信号検出に最適化された条件がデフォルトで設定され自動測定では使用されています。ではどのくらいの犠牲なのか、その一例を分子内積分比で示します。
図1にクロトン酸エチルの1HNMRスペクトルを示します。
分子内積分比を見ていましょう。構造解析を行うための情報としては分子内積分比1:1:2:3:1と読み取ってOKなのですが、厳しくデータを確認すると、二重結合部分の積分比が7-8%低めに観測されています。従って、この結果だけみても定量測定をする条件ではないことがわかります。

 

図1 クロトン酸エチル

定量測定で考えなければならないこと

NMRスペクトルの定量性に関与する要因は様々ありますが、測定条件を見直すだけでも劇的に改善します。それは、測定パラメータの中の「繰り返し時間」です。
NMRは感度を向上させるために測定の際、積算をしています。積算はパルスを繰り返しサンプルに照射していて、「繰り返し時間」とはパルスとパルスの間の時間のことです。
もう少し説明を加えます。NMRは磁場におかれている核スピンにラジオ波パルスを照射し、その際の核スピンの挙動を観測しています。パルスによって影響を受けた核スピンは元の状態に戻るまでにある一定の時間を必要とします。この元に戻るための時間が十分でないと、積算を繰り返すうちに定量性が失われ、結果として定量性が確保できないスペクトルを得ることになります。つまり、定量測定ではパルスとパルスの間に十分な繰り返し時間を設定することが大事なポイントとなります。
図2は定量性を考慮した測定条件との比較を示します。

 

図2 クロトン酸エチル定量条件

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