さあ、定量NMRをやってみよう!(2)
Issue 9
試料調製における内標準法と外標準法の違い
Issue 8 では定量NMRでは外標準法と内標準法があることを説明しました。
内標準法と外標準法の試料調製での違いは定量用基準物質を分析対象物と同じ試料系内に存在させるかどうかですが、いずれの場合も試料の量り取りと定量用基準物質の選択は重要となります。
1) 内標準法
定量用基準物質の選択:純度が高く、分析対象物と信号が重ならないものを選ぶことがポイントです。もし可能であれば国家標準物質などの計量トレーサビリティが確保されたものを選ぶことがよいでしょう。
量り取り:NMR測定試料は1回に0.6ml程度で十分です。このことから、定量用基準物質も分析対象物もmgオーダーで量り取り実施することになります。特に、量り取りの誤差は純度計算に大きく関係しますので、使用する天秤の仕様や操作環境を十分に考慮する必要があります。
溶液の調製:定量用基準物質と分析対物を精確に量り取ったら、溶媒を適宜添加して溶解します。モル比が明確なので、溶媒量は精確でなくてもかまいません。
2) 外標準法
定量用基準物質の選択:分析対象物とは別の試料系で測定を行いますので、分析対象物と信号の重なりを考慮する必要はありません。しかし、定量用基準となるので、純度が精確にわかっているものを選ぶことがよいでしょう。
量り取り:内標準と同じく、mgオーダーで量り取りを行うので、天秤の仕様や操作環境は内標準法と同様に十分な考慮が必要です。
製:定量用基準物質の溶液、標準溶液は定量の基準となるので、モル濃度で精確に調製する必要があります。使用するメスフラスコやピペットの校正も考慮にいれ作業しましょう。
定量NMRにおいて試料調製の誤差は測定全体の大きな誤差要因となります。
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